アートスペース油亀企画展
渋谷パルコ「サラダの皿だ」
サラダが食べたくなる、ユニークなうつわ

岡山県出石町で2007年に誕生した「アートスペース油亀」は、うつわとアートの魅力を発信するギャラリー。オリジナリティあふれる切り口で展開される企画展が大きな魅力。2025年2月8日(土)~2月16日(日)にかけて東京・渋谷パルコで開催される「サラダの皿だ」では、思わずサラダが食べたくなるうつわに出合うことができる。「アートスペース油亀」が提案するサラダを引き立てる、ユニークなうつわとは?
アートスペ ース油亀が、
長年愛される理由とは?

岡山後楽園の門前・出石町にあるギャラリー。北海道から沖縄まで、全国各地の陶芸家のうつわや美術家のアートグッズを数多く取り扱う。展覧会も随時開催している
岡山市出石町。日本三名園のひとつ、岡山後楽園のほど近くに「アートスペース油亀」はある。誕生したのは18年前。代表の柏戸喜貴さんは前職を退職後、ものづくりの魅力を発信する場を探していた。
「昔からアートが好きで、うつわを展示・販売するギャラリーを開きたいと思っていたんです。そんな折、妻の祖父が営んでいた油問屋の建物と出合い、ここだと思いました。ただ、築140年の古民家は長いこと使われていなかったため老朽化が進み、当時はお化け屋敷のような状態。そこで仲間たちと1年がかりで改修を行い、昔ながらの風情を残しつつ、2007年に店をオープンさせることができました」と、柏戸さんは振り返る。

幼少期に祖父からうつわ選びを学ぶ。登山用品店に勤務しながら各地のものづくりをする人々に出会う。退職後、2007年にアートスペース油亀を設立
いまやうつわ好きがこぞって訪れる人気店へと成長。アートスペース油亀が長年愛される理由は、ユニークな企画の切り口にある。「朝ごはんオーケストラ」、「カレーのためのうつわ展」、「鉢は植物の着物である」。これらは過去に開催した企画展の一例で、タイトルを聞いただけでも心が弾んでくる。
「アイデアはスタッフ同士の雑談から生まれることが多いです。『朝食って大事だよね。だったら朝ごはんが待ち遠しくなるようなうつわを特集しようか』みたいなノリです。私たちのモットーは、つくり手も発信する側も、みんなで展示を楽しむこと。そのため、協力していただく作家さんたちにも、ワクワクした心持ちで企画展に臨んでいただきます。つくり手の感情は作品にも反映されますからね」
こだわりのうつわが
サラダ時間を楽しくする

今回の企画展「サラダの皿だ」も、日常の些細なシーンがヒントになった。野菜好きの柏戸さんは、自宅はもちろん、職場でもサラダをよく食べる。スタッフもランチに好んで食べる人が多いという。
「でも世の中を見渡せば、人々の野菜離れが進んでいるといいます。野菜を食べる人が増えればもっと社会はイキイキするのではと思い、サラダ専用のうつわを提案することにしたんです」
全国各地の約40名の作家に声を掛け、およそ200点のうつわを用意。サラダを盛りつけることが前提になるため、ドレッシングをかけてもあふれ出ないように縁に深さをつけたり、葉もの野菜がたっぷり入る大きさだったり、デザインだけでなく機能面にも十分こだわった。そしてもうひとつ注目したいのが、作家のうつわに対する愛情だと、柏戸さんは言う。

「たとえば寺村光輔さんのオクトゴナル。八角形の平皿なのですが、縁の部分に釉薬をかける際についたであろう指の跡がわずかに残っているんです。なるべく目立たないように、でも瑠璃色がうつわ全体にまんべんなくつくようにしっかり指で支えていた跡は、寺村さんが真剣につくってくれた証し。作品一つひとつに、こうした作家の息遣いが感じられますので、ぜひ楽しみながら、選んでほしいです」
うつわのほかにも、調味料入れや片口など、サラダ周りの小物も販売予定。この企画展を機に、野菜生活をはじめてみてはいかがだろうか。
うつわとサラダの組み合わせは無限大!
アートスペース油亀のうつわ

「太陽の鉢」あよお 金澤尚宜
熊本県天草地方の美しい自然を表現したひと皿。大地の力強さを感じさせるサラダボウルには、葉もの野菜をたっぷり盛りつけたい。

「ピンクプレート」大園篤志
優しいピンク色に気持ちまで明るくなる。厚みがあるので割れにくく、日常使いにぴったり。華やかなフルーツサラダがよく合う。

「サファリ皿」田川亞希
サラダを食べると皿の底からトラが現れる、遊び心あふれる一枚。野菜嫌いな子どもにも楽しく使ってほしいとの思いが込められている。

「瑠璃釉 オクトゴナル(大)」寺村光輔
八角形のフォルムがテーブルにリズムを与える。トマトやゆで卵など鮮やかな具材を合わせると、青色とのコントラストが楽しめる。

アートスペース油亀オリジナル「鉄散 くもカレー鉢 大」古谷浩一
空に浮かぶ雲のような作品。存在感があるので、主役級のサラダを盛りつけ、食卓の真ん中に置いても絵になる。ワンプレートにも。

アートスペース油亀オリジナル「7.5寸カレー皿 掛け分け Redamber × Ashwhite」三木健太郎
カレー用だが、縁の部分が立ち上がっているのでドレッシングが垂れず、サラダとも好相性。ベーコン入りの具だくさんサラダなどに。
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アートスペース油亀企画展「サラダの皿だ」
会期|2月8日(土)~2月16日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。
text: Misa Hasebe photo: Shiho Akiyama
2025年3月号「ニッポンのまちづくり最前線」