HOTEL

「ザ・リッツ・カールトン京都」
サステナブルな物語が“真の贅沢”をもたらすシェフズ・テーブル

2022.1.13
<small>「ザ・リッツ・カールトン京都」</small><br>サステナブルな物語が“真の贅沢”をもたらすシェフズ・テーブル

京都の中心部、鴨川のほとりに建つ「ザ・リッツ・カールトン京都」。ラグジュアリーの真髄を知る同ホテルから、人と地球に優しい、まったく新しいスタイルの「シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue」が2021年8月に誕生した。1日6席限定の特別な空間ながらも自然体で味わえる、“本当に贅沢”な料理とは……?

七十二候のように細やかな季節感を味わう

東山三十六峰を望む風光明媚な鴨川沿いに位置し、風光明媚な古都の四季を愉しめる「ザ・リッツ・カールトン京都」。祇園や先斗町など繁華街に近く、観光やビジネスの拠点にも最適なロケーションに建つ。入口の傍には水が流れ、水音が日常を切り離しながらホテルへと誘う。日本の伝統的なデザインや職人技を取り入れた館内には、源氏物語をイメージした約400点もの美術作品や枯山水を施した日本庭園が設えられ、京都の町並みから地続きの滞在空間を愉しめる。

同ホテルでは、エグゼクティブ イタリアン シェフの井上勝人氏による「シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue」がオープン。ラグジュアリーの形が変わりつつあるいま、“自然体でいられる快適なラグジュアリーさ”を追求し、「家」をイメージしたシェフズ・テーブルとなっている。ホテル内に残る1908年に建設された歴史的建築・夷川邸の隣、靴を脱いで入るほっとできる部屋に誂えたテーブルで、6席のゲストのためだけに料理が振る舞われる。また料理の舞台となるテーブルには、苔や枝、落ち葉などを用いて、まるで小さな日本庭園のような装飾が施される。この装飾はホテル専属の庭師・鈴木耕喜氏によって日毎に変わっていき、特別感をよりいっそう盛り立てる。

シェフズ・テーブルのテーマのひとつである七十二候。一年を72に分けたその繊細な季節感に着想を得て、あえてメニューは設けず、“その日で最も美味しい食材”を使用し料理を仕上げていく。京野菜を中心に集められた食材たちは、井上氏が20年前から続けてきた生産者めぐりで築いた信頼関係によるもの。自ら足を運び、育て方や作り方を目で見て確かめているからこそクオリティの高い食材が集まり、シェフの多彩なアイデアと技によって、極上の料理が出来上がるのだ。

テーブル隣にあるカウンターが調理場となっており、料理に関する質問やこの品はおかわりしたい! といった要望など、シェフとコミュニケーションを取りながら愉しめる
トウモロコシの冷製スープ
冷静スパゲティ ボンゴレ
近江牛フィレの炭火焼とひとみ五寸

食べる人と地球に優しい料理

野菜の端材を使った自家製パン。材料は日によって異なるが、取材日はエビイモやセロリ、唐辛子の種、人参の皮など10種類以上を使用

イタリア、スペインの地方にある有名レストランで4年働き、日本に戻ってからも、休暇の度に最先端の料理を出す世界中のレストランへ赴き、「今」のクリエイティビティを吸収し続けている井上氏がつくるのは、「食べる人に優しい料理」。美しさや美味しさだけではなく、自家製コンブチャなど、身体に嬉しい発酵食品も取り入れ、健康的で栄養バランスがよい食事が提供される。例えば、フリットは最後に炭で軽く炙ることで、表面を香ばしく、中を熱々に仕上げると同時に、余分な油を落としてヘルシーに仕上げている。

また、人だけではなく環境にも優しいのが井上氏がつくる料理の大きな特徴のひとつだ。その日の料理に使った野菜の端材で自家製パンを焼き上げ提供してくれるほか、通常は市場に出回らない未利用魚も、腕利きの漁師や仲買人の協力も得て、卓越した技で極上の料理に変えてしまう。井上氏は「命を大切に扱い、それらを使い切ってこそ料理である」と話す。その信条は、食材を余すことなく使い切る「始末の料理」で知られる京都の人々の間で脈々と受け継がれてきた文化とも共鳴する。

桂川に沿って広がる石割さんの畑。料理人たちの声に応え続け、ここで約150種の野菜を育てる

ホテルから車で15分ほど、桂川のほとりに広がるのは江戸時代から続く「石割農園」。10代目の石割照久さんは有機栽培を中心に取り組み、新品種の開発も行う。井上氏とは20年来の仲で、シェフの要望に応じて野菜を生産する、まさにオーダーメイト農家だ。現在栽培する種類はなんと150種にまで及ぶ。

そんな石割さんの野菜づくりは、無農薬栽培にこだわり、基本的に有機肥料で育てる。農薬はこの30年以上ほとんど使用していない。京都の有名料亭やレストランのシェフたちが求める野菜は、どれもみずみずしく生命力にあふれている。その美味しさの秘密は意外なものだった。

「例えば瀬戸内の柑橘類はなぜ美味しいんだろうと考えた。そこで海からのほどよいミネラルを含んだ土壌にあるのではないかという仮説を立て、提携している店から貝殻を柑橘の下に蒔いてみたら、香り高く美味しい柑橘が育った。そのほかにも食品残渣を粉末化して巻いたり、昆布や鰹など、同じ要領で肥料にして、美味しさが増した例が多くある」。まさにサステナブルな野菜づくりだ。野菜の声を聞きながら、アイデアと確かな経験で絶品野菜を作る石割さん。シェフズ・テーブルでは「石割農園」で朝採れ京野菜を使った料理が味わえる。

柑橘の木の足元に目をやると無数の貝殻が。瀬戸内の環境に学び、野菜提供する料亭などから廃材を集めて肥料にしている
20年来の仲だという石割さんと井上氏。野菜を美味しく育てる者とそれをさらなる境地へ導く者、両者の信頼関係によって数々の絶品料理が生まれるのだ

細やかな季節の移ろいとともに豊かな自然への感謝を次世代につなげていくシェフズ・テーブル。絶品料理に舌鼓を打ちながらも、一品一品、さらには食材のもつストーリー性を堪能してはいかがだろうか。

シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue
住所|京都府京都市中京区鴨川二条大橋畔 ザ・リッツ・カールトン京都1F サレッタ プリバータ
TEL|075-746-5522
席数|6席
営業時間|18:00 一斉スタート
定休日|日・月・火曜
料金|3万2000円(税・サービス料込み)
 
 

≫公式サイトはこちら

 

京都のオススメ記事

関連するテーマの人気記事