FOOD

日本の食の未来につながる!
銘生産者の食材ギフト6選【後編】

2021.12.19
<small>日本の食の未来につながる!</small><br>銘生産者の食材ギフト6選【後編】

大切な人が美味しそうに味わう姿を思い浮かべつつ食材を贈る。生産者の志に触れながら、日本の食について多面的に発信し続ける向笠千恵子さんに、生産者の食材を選び、贈ることの意義、そして贈り物としての魅力をうかがいました。

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向笠千恵子(むかさ・ちえこ)さん
フードジャーナリスト、食文化研究家、エッセイスト。本物の味、安心できる食べ物、伝統食品づくりの現場を知る第一人者。2011年にグルマン世界料理本大賞グランプリを受賞した『食の街道を行く』や『ニッポンお宝食材』など著書多数。今春には、JICAメキシコ文化センターよりメキシコ人を対象に食の俳句を切り口にして日本食、和食文化を紹介する冊子『食の祭典』(邦題)をスペイン語で発行する等、世界に向けて日本の食文化を紹介中。最新刊『おいしい俳句——続・旬の菜事記』が好評発売中

青木悦子さんのかぶら鮨とだいこん鮨
石川県/金沢市

右)かぶら鮨、左)だいこん鮨。食べるときは糀を洗わず、好みの大きさに切り分ける。かぶら鮨は、化粧木樽詰仕様もある

<生産者PROFILE>
郷土料理研究家
青木悦子さん
結婚を機に移り住んだ金沢で加賀料理に出合い、1957(昭和32)年に料理教室を開講。北陸の食材や郷土料理、食文化を研究し、教えている

かぶらずしは、塩漬けにしたかぶら(カブ)に塩漬けしたブリを挟み、糀に漬け込んで発酵させた、江戸時代以来の郷土料理。寒ブリの時季であり、気温が発酵に適している冬につくられるなれずしの一種で、正月のおもてなしや冬の酒の肴としてハレの席で食べる。大根ずしは大根と身欠きニシンをかぶらずし同様、糀で漬け込み、家庭で日常的につくられてきた。かぶらずしは、出世魚であるブリの縁起のよさから、武家への贈り物として重宝された高級品。対して大根ずしは家庭の味。「自家製糀でつくる青木先生の“かぶら鮨”、“だいこん鮨”は、無添加で材料の使い方が贅沢で豊かな味わい。それぞれの魅力をぜひ食べ比べていただきたい。時間とともに酸味も加わり好みの食べ頃で楽しみましょう」

かぶら鮨
価格|5940円(送料別)
内容量|約200g×3個(化粧木樽詰)
原材料|かぶら、ブリ、塩、米、糀、ニンジン、唐辛子、ユズ
賞味期限|桶上げ後約8日
注文方法|Tel、Fax、インターネット
※桶上げ・発送予定時期:12月初旬〜来年2月下旬

だいこん鮨
価格|3672円(送料別)
内容量|約250g×3本(簡易箱詰)
原材料|大根、ニシン、塩、米、糀、ニンジン、唐辛子、ユズ
賞味期限|桶上げ後約10日
注文方法|Tel、Fax、インターネット
※桶上げ・発送予定 時期:12月初旬〜来年2月下旬

青木クッキングスクール
所在地|石川県金沢市長町1-1-17 青木クッキングスクール
Tel|076-231-2501(注文対応可能時間は9:00〜18:00)
FAX|076-231-2500
https://aokicooking.com

畑ほし柿生産組合のまるはたほし柿
島根県/松江市

<生産者PROFILE>
「畑ほし柿生産組合」

石橋修治さん
干し柿の品質の向上、安定的な生産体制の確立などを目指し、1955年に結成された組合。伝統を受け継ぐ、19戸の生産農家から成る

柿栽培に適した土壌と風土をもつ松江市東出雲町畑地区での干し柿づくりの歴史は約450年。晩秋、色づいた柿をひとつずつ手作業で皮をむいて専用のひもに吊るし、木造3階建て、総ガラス張りの“柿小屋”(江戸時代から使われはじめた、柿を干すための専用の小屋)で、約1カ月かけて干し柿へと仕上げる。各農家の柿小屋いっぱいに柿すだれが並ぶ様子は、日本の原風景ともいうべき光景。「色づいた柿は、日本の秋になくてはならない景観。その保存のために誕生した干し柿は、各地に名品があります。中でもまるはたほし柿は、飴色の宝石とたたえられる美しい色に、ねっとりした食感、濃厚な甘みで類のない美味しさ。乾燥に硫黄燻蒸をしない安全性への配慮もおすすめ」

個包装したまるはたほし柿3個入り箱×2箱のセット。食品添加物・保存料不使用

まるはたほし柿(贈答用/黒箱入り)
価格|5000円
内容量|約50g×3個×2箱
原材料|西条柿
賞味期限|製造より常温で2カ月
注文方法|Tel、Fax、インターネット

畑ほし柿生産組合
所在地|島根県松江市東出雲町上意東畑816
Tel|0852-52-5824(少人数運営のため不在の場合あり。FAX推奨)
FAX|0852-67-5033
www.hatahoshigaki.jp

葱善の江戸千住葱
東京都/台東区

<生産者PROFILE>
「葱善」契約農家

井之口喜實夫さん、勇喜夫さん
練馬区に畑をもつ野菜農家。喜實夫さんは2011(平成23)年に発見され、復活した江戸東京野菜の早稲田ミョウガの生産者としても知られる

江戸千住葱は、創業130余年のネギ問屋「葱善」のオリジナルブランド。そもそも市場に出回る野菜の多くは、均一に成長するF1種(人工的につくられた1代限りの雑種)からつくられている。伝統野菜も例外ではなく、これに危機感を抱いた「葱善」4代目の田中庸浩さんは、自身の祖父、父が保管していた昔ながらの千住ネギの固定種(種を取り、育てるという自然な育種を何代にもわたって行った結果、野菜の個性が固定した種)を用い、10年以上をかけて栽培方法を復活させた。そうして生まれた江戸千住葱を育てるのは、練馬区の農家、井之口喜實夫さん、勇喜夫さんさん父子。「鍋、薬味など、冬の食卓に欠かせない長ネギは日持ちするので、贈り物として重宝します。しかもこんなに立派な長ネギが届いたら、リッチな気分になれます」

「箱から出して新聞紙に包み、ベランダなど屋外で雨が当たらず、風が通る場所に立てかけておくと長もちします」

江戸東京野菜『江戸千住葱』
価格|2480円
内容量|1.5kg(5〜8本)
原材料|千住ネギ
賞味期限|冷蔵で7日
注文方法|Tel、Fax、インターネット

葱善
所在地|東京都台東区千束3-6-10
Tel|03-3872-2990(注文対応可能時間は9:00〜17:00)
FAX|03-3872-5242
https://negizen.shop-pro.jp

まだある!秋冬の食卓を彩る
向笠さんおすすめの生産者リスト

<肉>
中川畜産の中川牛(滋賀県/東近江市)
黒毛和牛御三家の近江牛の腕利き生産者の肉は、コクと旨みにあふれている。

加茂川のくまもとあか牛、天草大王(地鶏)(熊本県/熊本市)
精肉の卸、小売、直営すき焼店を複合経営する老舗厳選の肉。

<海鮮>
マルヤマ 山根商店の宮古縄文漬、発酵干物(岩手県/宮古市)
自然仕立てで魚の味を引き出す。宮古縄文漬は独自の発酵熟成法でつくる干物。

山下義弘・幹昌丸の越前がに(福井県/越前町)
漁師一家からの直送。越前がれいの活け締め、ホタルイカの沖漬けもおすすめ。

<野菜・果実>
鰐come(ワニカム)の大鰐温泉もやし(青森県/大鰐町)
温泉の地熱と肥えた土壌で育てるもやしは長くて太い。濃厚な風味が癖になる。

JAこまち(こまち農業協同組合)の三関せり(秋田県/湯沢市)
湯沢市郊外のせりは、清水で育った根が太くて長く、根こそ美味といわれる。

山本柑橘園の旬の柑橘セット(山口県/周防大島町)
“柑橘博士”と敬慕される山本弘三さんから月替わりでさまざまな柑橘が届く。

 

text: Miyu Narita photo: Atsushi Yamahira
Discover Japan 2021年12月号「ストーリーのある贈り物」

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