FOOD

祇園祭にいただく銘菓
京都府京都市 三條若狭屋の「祇園ちご餅」
福田里香の民芸お菓子巡礼

2021.9.8
祇園祭にいただく銘菓<br>京都府京都市 三條若狭屋の「祇園ちご餅」<br><small>福田里香の民芸お菓子巡礼</small>
8カ所に焼き印を押した足付き木箱。木箱を入れる紙箱の掛け紙は武者小路実篤の作。実は同じ白樺派出身の柳宗悦とも縁続きだ

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は、白味噌を甘く炊いたものを求肥で包み氷餅をまぶし竹串にさした、祇園祭に伝わる銘菓、京都府京都市 三條若狭屋の「祇園ちご餅」を紹介します。

福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。12年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中

竹串に刺したちご餅は1包3本入り432円

先日、目黒区美術館で開催された「包む|日本の伝統パッケージ」展(9月5日に会期終了)を観に行きました。会場には、アートディレクターの岡秀行が長年収集し、書籍(初版1965年)に収めた数々の傑作パッケージの実物がずらりと揃い、ため息が出るほど圧巻です。

展示は木・竹・布やその他自然素材・土・藁・紙など素材別に8つのコーナーに分かれていて、とても見応えがあります。木のコーナーで「三條若狭屋」の「祇園ちご餅」の木箱を発見。ふと周りを見渡せば、もういまはない商品や廃れた包装も多い中、昔から変わらぬ造形であり続ける「祇園ちご餅」に、心の底から感嘆しました。“美味しい”は強い。

三條若狭屋は1893(明治26)年から続く京都の老舗で、祇園ちご餅は厄を除き福を招くと伝わる祇園祭の故事にちなんだ銘菓。甘く炊いた白味噌を求肥で包み、氷餅をまぶした餅菓子は、うっとりする軟らかさと上品な甘さが信条。包みに結んだ3色の短冊飾りも愛らしい。お子さまの祝いの席にもぴったりです。

祇園祭の鉾を描いた木箱の掛け紙。木箱10包入り6264円

三條若狭屋
住所|京都府京都市中京区三条通堀川西入ル橋西町675
Tel|075-841-1381
営業時間|10:00~17:00
定休日|水曜
http://www.wakasaya.jp/

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
Discover Japan 2021年10月号「秘密の京都?日本の新定番?」

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