「マルディ グラ」和知徹シェフのお取り寄せ&レシピ
尾崎牛のグリル サルサソース
トップシェフにとって、信頼できる生産者の存在は欠かせないもの。有名店のトップシェフに、御用達のお取り寄せ食材と家庭でできるレシピを教えてもらう《トップシェフ御用達のお取り寄せ&レシピ》。今回は銀座「マルディ グラ」の和知徹シェフに、宮崎県の尾崎牛を使ったレシピを紹介してもらいました。
「勝負するときは尾崎牛で」
マルディ グラ オーナーシェフ
和知 徹(わち・とおる)さん
辻調理師専門学校卒業。同校のフランス校や仏ブルゴーニュの一つ星レストランで研修後、「レストランひらまつ」に入社。在籍中に再びパリへ。帰国後は「アポリネール」や「グレープガンボ」で料理長を経て、2001年に銀座「マルディ・グラ」を開店。レシピの著書、共著多数
「尾崎牛」は“尾崎宗春さん”が育てた和牛のこと。つまり、生産地名ではなく、つくり手の名前が牛のブランドとなっている日本で唯一の生産者です。尾崎さんはオープンマインドな方で、肉を分けてもらうだけでなく、肉牛の肥育や飼料のこと、肉牛業界のことなど、さまざまなことを教えてもらっています。昨年は、宮崎の仔牛市場にも一緒に行きました。いわば私の「お肉の先生」です。
今回お取り寄せした尾崎牛の“ソトモモ”は、黒毛和牛の中でも比較的赤身で肉の味が濃く、噛み応えのある食感がステーキにぴったりです。肥育期間が長いので味わい深く、コロナ禍の折には、テイクアウトのハンバーガーとしても活躍してくれました。
私にとって尾崎牛は「勝負するときの肉」という存在です。
マルディ グラ
住所|東京都中央区銀座8-6-19 B1F
Tel|03-5568-0222
営業時間|18:00〜24:00(L.O.23:00)、土曜、祝日〜23:00(L.O.22:00)
定休日|日曜
https://kitsukura.co.jp
尾崎牛のソトモモ(ナカニク)
サシの多い黒毛和牛の中で比較的赤身の部位。サシ由来のコクがカルパッチョやタルタル、ステーキ、ハンバーグなどに合う。
参考価格|尾崎牛赤身ブロック500g 6000円
「毎日食べたい牛肉をつくっています」
宮崎県宮崎市「尾崎牛」生産者
尾崎宗春(おざき・むねはる)さん
マルディ グラの和知徹シェフは、東京で一番はじめに「尾崎牛」を使ってくれたシェフです。もう15年くらいのおつき合いになります。
「尾崎牛」は、美味しさと安定性を大事にしています。そのために、牛に食べさせる飼料は、ビールの搾り粕を中心にトウモロコシや大麦、小麦、大豆粕、海藻粉末などを、毎日自家配合して与えています。抗生物質や防腐剤を使いたくないからです。また、尾崎牛の牛ふんのみで堆肥をつくって畑に返し、牧草をつくり、それを牛に食べさせています。
和知シェフに「お肉の先生」と言ってもらいましたが、自分が感動していないのに人を感動させることはできません。毎日食べてもしつこくなく、次の日もまた食べたくなる。そんな牛肉を目指して、楽しく尾崎牛の生産をしています。
牛肉商尾崎
住所|宮崎県宮崎市大瀬町3741-7
販売|eatmeet
https://eatmeet29.thebase.in/
尾崎牛のグリル サルサソース
長期肥育によって、脂があっさりしている割に旨みが強い「尾崎牛」の美味しさを余すところなく味わえる。家庭のフライパンでも、屋外でのBBQでも活躍するメニューだ。野菜を切って和えただけのシンプルなサルサソースは、さっぱりとした味わいで黒毛和牛のサシ由来のコクとよく合う。たくさんつくって余ったらパンにのせてもOK。
材料
尾崎牛 ソトモモ 500g
塩 6g
※1kgの牛肉に対して塩12g(肉の重量の1.2%)
無塩バター 50g
テキーラ 30g
コショウ ※好みで。なくても可
★サルサソース(約1kg分)
赤パプリカ 1コ
黄パプリカ 1コ
トマト 2コ
赤タマネギ 1コ
ライム 1コ
マンゴー 1コor2コ
※桃など季節のフルーツも可
キュウリ 2本
ニンニク 2カケ
青唐がらし 1本
※なければ、タバスコでも可
つくり方
①牛肉は、肉の繊維に対して垂直に包丁を入れ、繊維を断ち切るようにカットする。分量通りの塩をする。(好みでコショウも)
②サルサソースの野菜はすべてみじん切りにして、混ぜ合わせる。
③熱したフライパンにバターを入れ、すぐに①の肉も加えて、バターを溶かしながら肉を片面のみ焼く。肉に焼き色がついたら火を弱めて、フライパンの縁から静かにテキーラを流し入れる。アルコールが飛んだら火を止める。
text: Tomoko Honma photos: Shinpei Fukazawa
2020年9月号 特集「この夏、毎日お取り寄せ。」