花紋折りに包まれた愛らしいお菓子
諸江屋の「La・KuGaN」
福田里香の民芸お菓子巡礼
民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は花紋折りのパッケージが美しい、金沢の老舗・諸江屋の「La・KuGaN」を紹介する。
福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。民芸一家に生まれ、布芸展名義で、青森の民芸刺繍を新しく展開した『こぎん刺しの本』(文化出版局)がある
まるで花のよう。幾何学的な美しさを感じる折り紙箱は、花弁を持ち上げると、斜めにねじれながら可憐に咲き開く。これが「花紋折り」の特徴です。花紋折りを考案したのは、折り紙作家の内山光弘(1878〜1968)。誰でも一度はどこかで見たことがある箱ではないでしょうか?
この人気の箱にも民藝運動が深くかかわっています。日本民藝館の2代目館長も務めた工業デザイナーの柳宗理は内山の作品を「日本の伝統的形態を顕していると同時に、大変モダーンで新鮮な姿を表現」と激賞し、機関誌『民藝』1982年1月号に花紋折りを大特集。’88年には、柳が監修・編集した『花紋折り 内山光弘の世界』(芸艸堂)も出版しました。
花紋折りが最も活用されている分野がお菓子の箱です。中でも金沢の老舗「諸江屋」のLa・KuGaN・花うさぎの愛らしさは絶品。花紋折りのパッケージを開くと、薄紙に包まれたちいさな梅の花が咲きこぼれます。赤い箱はカカオパウダー100%使用のココア味。上等の和三盆と相まって絶妙な美味しさに。
諸江屋
住所|石川県金沢市野町3-1-38
Tel|076-241-2854
営業時間|9:00〜17:00
定休日|元日
http://moroeya.co.jp
text : Ricca Fukuda photo : Wakana Baba
2018年8月号 特集「あの憧れの楽園へ。」