〈ホテルニューアワジ〉の宿づくり【前編】
地域の魅力を磨き上げるホテル
兵庫・淡路島など関西エリアを中心に、18のホテルを展開するホテルニューアワジグループ。既存施設を再生し息を吹き返らせる、同社のホテルづくりの背景をひも解いていく。
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地域の資源を味方につけてホテルを再生
ホテルニューアワジグループの歴史の幕開けは1953年。「ホテルニューアワジ」の前身となる旅館「水月荘」が、兵庫・淡路島の洲本港近くに開業したことにはじまる。連絡船の旅客が投宿した小さな宿は、いまや西日本を代表するホテルチェーンへと成長した。
転機は1998年に行った「ホテルプラザ淡路島」の再生であろう。「ホテルニューアワジ」の規模は創業時より拡大していたものの、人けのない山の上に建つ閉鎖ホテルへの投資に、周囲の反応は懐疑的であった。しかし、ホテルニューアワジグループは、あえてこの立地に目をつけたのである。
再建にあたり、旅館で培った和食に加え、目の前の鳴門海峡の海の幸や淡路島の食材を、洋食にアレンジした和洋創作会席を取り入れた。身土不二、フードマイレージなど、いまでこそ当たり前になった「地産地消」の食を地元生産者の協力を得て提供したのだ。また、地元の源泉を使った鳴門海峡を一望できる露天風呂も新設。こうして「ホテルニューアワジ プラザ淡路島」として生まれ変わったホテルは、瞬く間に人気を集め、長きにわたり愛されることとなる。
以降、ホテルニューアワジグループは躍進を続け、現在運営するホテル・旅館は淡路島を中心に香川、岡山、滋賀、京都、神戸にあり、その数は18軒。コンセプトや特徴はすべて異なり、ほとんどが経営難や廃業に陥った宿泊施設の再生、リブランドである。再生に取り掛かる際、重んじているのは「地域の資源を味方につける」こと。地域がもつさまざまな潜在的魅力を見出し、磨き上げ、宿の強みに昇華していく。「美しい景観」を味方につけた「ホテルニューアワジ プラザ淡路島」は、優れたモデルケースになったといえよう。
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拠点・淡路島を凝縮したリゾートへ
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