陶芸家《福島晋平》
民藝の心が宿る益子焼のうつわ
|手仕事が生み出す唯一無二の魅力とは?
民藝運動の拠点として知られる栃木県益子町。手仕事に宿る“無心の美”を尊重しながら、民藝運動以前から継承されてきた益子の多様な技法を取り入れ、独自のうつわを制作する福島さん。東京・渋谷パルコにて2025年1月24日(土)~2月1日(日)にかけて開催される「福島晋平 個展」で、益子の土と向き合い続けてきた福島さんのうつわに出合う。
※個展初日の入店について、一部時間帯に整理券が必要です。詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)、または公式オンラインショップをご確認ください。
Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を2026年1月27日(火) 20時より順次販売予定です。(店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります)

福島晋平(ふくしま・しんぺい)
1983年、栃木県益子町生まれ。金沢美術工芸大学彫刻専攻を卒業後、栃木県窯業技術支援センターを修了。父・福島晴雄氏に師事。
思わず手に取りたくなるうつわの魅力

もし益子町に民藝運動がなかったら、益子焼はどんな進化を遂げていただろうか──。そんな仮定を拡大解釈した作風こそ、陶芸家・福島晋平さんの真骨頂である。
1920年代に柳宗悦が提唱した「民藝運動」。無名の職人がつくる健全で美しい生活の道具を尊ぶ思想だが、江戸時代より続く陶芸の街・益子町の人々は、運動を先導した陶芸家・濱田庄司に魅了されることとなる。「戦後に祖父が益子町に移住したときが民藝運動の最盛期であり、皆が濱田さんに魅了されて彼の焼物をまねするようになりました。これまで壺や瓶にしか掛けなかった飴釉をうつわに使うといった新しい技法が登場した反面、使用が減った加飾技法もたくさんあるんです」と語るように、濱田庄司の登場を境に益子焼は大きく様変わりしたのだ。

福島さん自身も、民藝運動を先導したバーナード・リーチに影響を受けて絵付けの模写をはじめたという。「父の代から陶芸をはじめた我が家は、伝統的な益子焼の窯元ではないからこそ、父も私も濱田さん風ではない益子焼をつくろうとなったんです」と、福島家では独自の表現を追求。そんな窯元の2代目が模索するのは、別の世界線にある伝統的な益子焼だ。
そのため益子焼の特徴であるぽってりとした厚みを踏襲することなく、ややシャープな印象を与えるために滋賀・信楽の土を20%ほどブレンド。その生地に「窓絵」、「しのぎ」、「泥掛け」といった伝統的な加飾技法を、父親譲りのスタイルで、これでもかと言わんばかりに詰め込んでいく。

「益子には新しいつくり手が参入しやすい寛容な気風があるからこそ、情熱も才能もある若い人が次々とやってきます。正直センスや才能だけでは勝てないと思っているからこそ、父も私も手間をかけた贅沢で目を引く作品をつくっているんです」と福島さん。手間と工数を注ぎ込んだ作品は、作家としてのアイデンティティの証明にほかならない。
現在は、固定化している自身の仕事に危機感を覚え、もうひとつ殻を破らなければならないと考えているのだとか。とはいえ、「かっこよさや奇抜さを求めることなく、むしろかたちに関しては理詰めで考えています。いつの間にか手に取ってもらえる焼物にしたいんですよね」と語るように、作風がどのように変化しようとも、使い勝手のよい生活雑器という本質は変わらない。益子で生まれ育ち、作陶の楽しさを身近に感じてきたからこそ、福島さんが益子焼に宿る〝用の美〟を忘れることはない。
手でつくるからこそ生み出せる、実用的なかたち

指が入りやすい角度の持ち手や、持ち上げやすい高さの高台など、使い勝手は理詰めで設計。こうした視点は“手の中でつくる”からこそ生まれるものであり、机上でデザイン性ばかりを追求すると、うつわ本来の機能は途端に置き去りになってしまうという。
手間を惜しまず、丁寧に技法を重ねる

絵付け
絵を描くことが好きだったからこそ、物を平面的にとらえる癖を直したいと、あえて大学では立体である彫刻を専攻。個性が強く表れる絵付けの作品は、陶器市などでもいち早く完売するほどの人気を誇る。

しのぎを削る
最近までブームとなっていたしのぎ模様だが、量産の時代には鳴りを潜めていた技法のひとつ。うねりのある斜め模様は、師匠である父のしのぎの仕事を手伝う中で、自然と編み出されていった。

泥掛け
数ある加飾技法の中でも福島さんが多く手掛けている泥掛け。いまでは絵付けを行う人以外には廃れてしまった技法だが、刷毛目などで模様をつける泥掛けの仕事は、今後も深めていきたいと話す。
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渋谷パルコ《福島晋平 個展》開催!
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福島晋平 個展
会期|1月24日(土)~2月1日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※初日に整理券配布予定。(定期購読契約者限定の整理券先行予約あり)
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。
text: Natsu Arai photo: Shiho Akiyama
2026年2月号「地域を変える企業」



































