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自粛生活をちょっと楽しくするヒント

2020.6.7
<b>自粛生活をちょっと楽しくするヒント</b>
『火星の人〔新版〕(上)』

本誌でもおなじみの各業界で活躍する著名人に、おうち時間の過ごし方やアイデアを聞く《DJ的・おうち時間の充実計画》。最初は新鮮だったリモートワーク生活も、慣れると次第に飽きてくる。そんなとき日々の生活をちょっと楽しくするヒントを、アイデアの達人である放送作家の野呂エイシロウさんに聞いた。

野呂エイシロウ(のろ・えいしろう)
1967年、愛知県生まれ。愛知工業大学卒業後、出版社を経て『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家に。次々と人気番組を手掛ける。コンサルタントとしても活躍。日本の大手企業、外資系企業、150社以上と契約。著書に『成功を決めるのは才能よりも運』など

「楽観は悲観に勝る」という言葉を教えてくれたのは、立命館アジア太平洋大学学長でライフネット生命創業者の出口治明氏。「歴史が証明している」のひと言は重い。だからできる限り楽観的に生きようと考えている。幸いなことにこの原稿を執筆している時点は発病をしていない。味覚も食欲もある。

今回の件で考えたのは、“自分が映画の主人公になった”という設定である。映画の主人公は難局を乗り越えるものだ。ウィル・スミス主演の『アイ・アム・レジェンド』、マット・デイモン主演の『オデッセイ』、そしてサンドラ・ブロック主演の『ゼロ・グラビティ』をまずは見直した。特に参考になったのはオデッセイだ。

原作本『火星の人』も読んで研究をした。とにかく生き延びるために入念にスケジュールを組むことにした。分単位だ。朝起きてから家中の掃除をし、トイレを磨き、家中のゴミを捨てる。マンション住まいなので移動は階段を使う。自分が宇宙飛行士の気分になってZoomやメールは、地球との交信だと思って行う。ブログなどの更新も忘れない。掃除もある意味運動だ。

『1日1つ、なしとげる!  米海軍特殊部隊SEALsの教え』

毎日、いろんなことに挑戦している。ひとつは、「ベッドメイキング」である。元米軍特殊部隊ウィリアム・H・マクレイヴンが書いた『1日1つ、なしとげる!』を読んで共感した。基本は朝起きてベッドメイキングである。そして毎日違うことに挑戦。

そして浦沢直樹さんの漫画『MASTER KEATON』も仕入れた。今回の難局に立ち向かうのはある意味サバイバルだ。経済的にも命懸けの戦いになると感じた。電子書籍になってないので全巻セットを購入した。人生で3度目の購入だ。名台詞があふれている「なあ、坊や。俺がこの年まで生き残れたのはなぜだと思う? それは俺が臆病者だったからだよ……」。

それから主人公キートンが尊敬するユーリ・スコット教授の言葉に「人間はどんなところでも学ぶことが出来る。知りたいという心さえあれば」というのがある。戦時中に教壇に立ち続けた方の重い言葉である。

『MASTER KEATON / 1 完全版』

そう、戦争や宇宙での遭難など究極のサバイバルといまのボクの生活を比べたら全然楽勝だ。そんなことで「悲観」を「楽観」に変えている。さらに、「普段絶対に読まない書籍を読む」ということをはじめた。dマガジンで普段は絶対に関心をもたない本を読み漁っている。『歴史人』、『相撲』、『きょうの料理』、『ねこのきもち』など、まったく興味がない雑誌をiPad proで読んでいる。これが脳の刺激になる。恐怖を煽るばかりのワイドショーとは違う。

そして毎日企画を考える癖をつけている。先方が望んでなくてもどんどん送る。それは膨大なインプットのせいだろう。さらに万年筆で紙の手紙を書くことを心掛けている。毎日10通ほど書いているが、キーボードとは違う別の脳みそを使っている気がする。

ふと思う。そう、宇宙飛行士(ボクのこと)は、意外に忙しいのだ。分単位でスケジュールがあるのだ。朝が待ち遠しい。電子版の新聞が来たり、雑誌が更新されるたびに懸命に読む。そう、情報が枯渇しているのだ。「新聞早くこないかな」と思ったのは人生ではじめてである。新聞を読みながら浮かんだアイデアをどんどん企画にして発信してゆく。アウトプットに関しては『学びを結果に変えるアウトプット大全』を参考にした。

メールをする、企画を発信する、ブログを書く、メルマガを書く。とにかく発信を欠かさないようにした。それがいまのボクをつくっているのだろう。そう、ボクは火星や宇宙で一人で暮らしている。地球に住んでいる人々は書籍を送ってくれている。だから懸命にそこから学んで新しいことを生み出そうとしている。そんな感じだ。

『学びを結果に変えるアウトプット大全』

身体は鈍ってしまっている。先ほども書いたがとにかく階段を使う。毎日1時間はジョギングをする。そのほかに自宅のトレッドミルでも走る。あとは、YouTubeを見ながら筋トレだ。刑務所での「囚人筋トレ」を見ながら狭い部屋で身体を動かす。とにかく腕立て伏せだ。仕事の合間に身体を動かす。僕自身が囚人の身で脱走するには体力が必要だ。と思いながら日々トレーニングをする。あとはとにかく寝る。毎日8時間寝ている。

自分は、特殊任務でいま、この場所でパソコンに向かっていると懸命に考えるのだ。実は、自宅で仕事してから効率が上がっている。仕事量が倍になっている。所得が倍になっているわけではないのが悔しい。自分で自分の人生をコントロールしている感じが増しているのだ。それが気持ちがいいのだ。意味のないランチに行かなくてもよくなったし、見栄も張らなくていい。時間ができればピアノも弾く。毎日ピアノを引く練習をしている。

幸いにもボクらには、書籍やインターネット、動画配信などがある。それらを駆使すれば自分を見直せる。脳のスイッチを切り替えると、今日も上空408㎞に浮かぶ宇宙ステーションは快適だ。YouTubeで宇宙から見た地球の景色を見ながらそんなことを思う。「地球は青かった」とガガーリン気分を味わってみる。

脳を宇宙に切り替える助けになる本

『火星の人〔新版〕(上)』 
著者:アンディ・ウィアー
翻訳:小野田和子
価格:704円
発行:早川書房(2015年)
不慮の事故で火星に一人残された、有人火星探査のクルー、マーク・ワトニー。限られた食料・物資、自らの技術・知識を駆使して生き延びていく。映画化もされた、世界的ベストセラー
『1日1つ、なしとげる!  
米海軍特殊部隊SEALsの教え』
著者:ウィリアム・H・マクレイヴン
翻訳:斎藤栄一郎
価格:1430円
発行:講談社(2017年)
スティーブ・ジョブズを超えたと評されるスピーチから生まれた一冊。元米国海軍軍人の著者が「1日1つ、小さなことをなしとげること」の大切さを、過酷な実体験をもとに教え説く


『MASTER KEATON / 1 完全版』
著者:浦沢直樹
脚本:勝鹿北星、長崎 尚志
価格:1362円
発行:小学館(2011年)
日本人の父とイギリス人の母をもつ、平賀=KEATON・太一。大学の考古学の講師でありながら異色のキャリアをもつ彼の夢は、幻のドナウ文明を発掘することだった。浦沢直樹の代表作


『学びを結果に変えるアウトプット大全』
著者:樺沢紫苑
価格:1595円
発行:サンクチュアリ出版(2018年)
インプットしても、アウトプットの方法を間違えると成長につながらない!? 日本一アウトプットをしている精神科医である著者が、圧倒的に結果が出る「アウトプット術」を伝授する

執筆=4月10日

文=野呂エイシロウ、写真=林 和也

2020年6月号 特集「おうち時間。」

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