料理研究家・ワタナベマキに聞く
「薬味」を取り入れた食養生のすすめ
料理の風味を引き立てる薬味は、実は心身を健やかにととのえるパワーを秘めたものばかり。料理研究家・国際中医薬膳師のワタナベマキさんに、暮らしに取り入れたい養生の知恵と初夏にうれしい薬味料理を教えてもらった。
料理研究家・国際中医薬膳師
ワタナベマキ
グラフィックデザイナーを経て料理家の道へ進み、雑誌やテレビ、イベントなどで幅広く活躍中。毎日の料理の参考になる著書も多数出版。最新刊『ワタナベマキの大人はこんな自炊でいい』(主婦の友社)は5月22日発売。
薬味は体調をととのえる
心強い味方

料理の風味にアクセントをつけて、彩りを添える薬味。料理を引き立てる名脇役として欠かせない存在だが、実は薬膳の観点からも体調をととのえる心強い味方だ。
「薬膳は難しいイメージがあるかもしれませんが、季節に合わせて旬の食材を取り入れるなど、日々の食事にひと工夫して健やかに過ごしましょうというのが基本的な考え方です」と話してくれたのは、料理研究家で国際中医薬膳師でもあるワタナベマキさん。蒸し暑くなるこれからの季節、薬味は特に力を発揮してくれるという。

知っておきたい薬膳とは?
薬膳とは中国の伝統医学をベースにした食養生のこと。五臓は「肝・心・脾・肺・腎」の5つの臓器の機能を指す。不調に対処するためには弱っている臓を補う食材を取り入れるとよいとされ、旬の食材はその季節に合った働きをするものが多い。食べ物の味は「酸、苦、甘、辛、鹹(かん)」の五味に分けられ、五臓と連動して作用する
「夏は血流が滞って寝苦しく、不眠になりやすい季節。血をめぐらせる『心』には苦みのある食材が作用するため、ゴーヤーなどの夏野菜やミョウガ、シソ、ワサビといった薬味がおすすめです。梅雨は湿気が身体にたまってむくみやすくなるので、利尿作用のある食材や薬味で発散を。消化吸収をつかさどる『脾』が弱る時期でもあるので、胃腸の調子をととのえる梅干しもいいですね」
なぜ薬味が身体にいいの?
どの食材にも薬のような効能があるというのが薬膳の考え方。多くの薬味は身体を温める働きをしてくれる。
「唐辛子、ショウガ、山椒、ネギ、ミョウガなど、多くの薬味は身体を温めます。最近は夏でも冷房で身体が冷えますし、キュウリやトマトなどの身体を冷やす食材ばかり食べていると冷え過ぎに。キュウリにミョウガやショウガ、トマトにシソを和えて食べるだけでもいい。そうめんや豆腐も身体を冷やすので、薬味をのせることでバランスがよくなりますよ」

香りにも心身をととのえる作用がある。薬味の中でも特に香りが強いシソにはリラックス作用があり、不眠やイライラした気分を和らげてくれる。また殺菌作用があるのも利点だ。
「日本では昔から、鯵や鰹のたたきにミョウガ、刺身にワサビが添えられてきました。薬味は生ものと組み合わせることで食あたりを防ぐ役割もあります」

普段の食事にも薬味が活躍しているというワタナベさん。梅干しを調味料代わりに使い、山椒の粉を味噌汁、白和え、焼いた肉などさまざまな料理にひと振り。
「大根おろしに梅とミョウガを合わせるのもお気に入りで、蕎麦にのせても美味しいです。大根は生で食べると身体を冷やしますから。夏は麺類などの冷たいものを食べがちですが、薬味を加えると冷え過ぎを防いで胃腸に優しく、香りで食欲もわく。取り入れてみると元気になれると思います」
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薬味を使った
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text: Rie Ochi photo: Shiho Akiyama
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