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山形県山形市 乃し梅本舗 佐藤屋の「乃し梅」
《福田里香の民芸お菓子巡礼》

2024.8.5
山形県山形市 乃し梅本舗 佐藤屋の「乃し梅」<br><small>《福田里香の民芸お菓子巡礼》</small>

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は1821年創業の老舗、乃し梅本舗 佐藤屋の「乃し梅」を紹介します。

福田里香(ふくだ りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。14年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中

梅花をちりばめた包装紙

「アートディレクター岡秀行(1905-1995)は、日本の伝統包装に魅了され『日本の伝統パッケージ』を残しました。初版は高度成長期の1965年。各地で竹や木、藁などの自然素材の包材が消えつつあるとはいえ、まだまだ現役でした。
 
現在、本書に掲載された食品包装を見ると、当時の素材で包装された商品は少ないのですが、美しいかたちで現存するお菓子もあります。それが斑入りの竹皮に挟まれた山形の伝統銘菓「乃し梅」です。製造元は1821(文政4)年創業の老舗「乃し梅本舗 佐藤屋」。乃し梅の元は1600年代、山形藩主の最上義光公の御殿医を務めた小林玄端が長崎で会得してきたといわれる気付け薬。その後、佐藤屋の初代松兵衛が菓子店を創業してからも受け継ぎ、明治の初期にいまのかたちに完成させたそうです。
 
竹皮をめくると琥珀色に輝く乃し梅が現れるさまは何度見てもうっとり。完熟梅の酸味の利いた甘酸っぱい味わいはむしろ今日的な美味しさで、暑気払いに打ってつけ。夏の贈り物におすすめです。

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梅花の意匠をあしらった5枚入り包装。756円

乃し梅本舗 佐藤屋 本店
住所|山形県山形市十日町3-10-36
Tel|023-622-3108
営業時間|9:00〜18:00
定休日|なし
https://satoya-matsubei.com

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
Discover Japan 2024年8月号「知的冒険のススメ」

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