ビール選び方のポイントとは?
ビールの基礎知識②
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日本酒やワインのように嗜好性が高いビールは、醸造背景やビアスタイルなど、ポイントを知っていることでよりいっそう楽しめる。今回、ビールをさまざまな角度から紐解き、3回に分けて紹介する第2回目。味の特徴をつかんで運命の一本を見つけよう!
Q.自分好みのビールを見つけるには?
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数あるビールの中から、運命の一本を探すにはどうしたら? そんなときは、味の好みを知ることからはじめよう。ローストした味わいが好きだとか、果実味に惹かれるなど、ざっくりとした基準をもっておくことで、自分好みのビールにたどり着けるはずだ。たとえば、「ロースト感=スタウト」など、ビアスタイルはテイストの分類とも関連性が深いもの。スタイルを大まかに把握するだけで、ビールの世界がグッと近づいてくる。
また、好みのブルワリーをつくり、そのブルワリーの醸造するビールを順に試す方法もある。ブルワリーはビールのパッケージが好みなど、気軽な理由で構わない。試飲すれば、スタイルによる味の差も理解でき一石二鳥だ。また、スタイルが異なっても同じブルワリーのビールには、麦芽やホップなどに共通する風味が見つけられるなど、ビールのおもしろさも実感できる。
Q.ビールの泡はなぜ必要?
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ずばり、ビールの美味しさを保ち、引き立てるから! ビールの泡にはいくつかの役割がある。口当たりの演出と、味や香りを閉じ込めるふたの役割、酸化や炭酸ガスをキープする役割も。そのいずれもが、注がれたビールの美味しさを極限まで引き立てるための重要なエレメンツといえる。また、泡はビールのアロマを閉じ込めるふたの役割だけでなく、泡そのものにも香りが凝縮されている。泡があることで、ホップの豊かな香りを、より堪能することが可能なのだ。さらに、口を付けたときに、マイルドで口当たりのよい泡があることで、麦芽本来の香ばしい旨みとコクを存分に味わうこともできる。見た目の演出だけでなく、味わいも格上げする泡。ビールを味わう際は、泡にも注目してほしい。
・ビールの口当たりをなめらかにする
・味や香りを保つ
・酸化を防ぐ
・炭酸ガスを逃さない
つまり、泡があるからこそビール本来の美味しさを堪能できるのだ。
Q.覚えておくべきビアスタイルは全部でいくつ?
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ビールのビアスタイルを知るメリットに、運命の一本に出合う手掛かりがあることは前述の通りだ。では、実際にはどのようなスタイルが存在するのか? ビールの世界で一般的なスタイルは以下の7つ。いずれも、原料や醸造方法の違いから味わいの差をつくり出している。ビアスタイルを理解すると、店で注文する際もメニューやラベルの表記から味わいが想像できるようになるのも魅力だ。たとえば、ピルスナーは爽やかなホップの香りと、シャープな味わいのスタイル。ゴクゴク飲めるので、カンカン照りの真夏日に「はじめの一杯」として飲みたいタイプだ。逆にそんなタイミングで、ローストの香りが強いスタウトを頼んでしまうと後悔してしまうかもしれない。高品質のビールがしのぎを削るいまだからこそ、「飲みたいビール」を間違いなく当てる。気分と味わいのミスマッチをなくすことも、ビールを堪能する上で重要なのだ。
《気分で選ぶビールタイプ早わかり表》
……A
・芳香にうっとり。アロマを愉しみたい
……D,E,F
・フルーティな香味を堪能したい
……B,C
・どっしりとした熟成香を味わいたい
……F
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ピルスナーの名の由来は、発祥地であるチェコのピルゼンからきている。すっきりとのど越しがよく、人気のテイストで、ホップの爽快感と苦みが特徴。大手ビール会社のビールは、多くがこのピルスナーに属する
B ヴァイツェン
小麦の麦芽を使用したドイツ発祥のスタイル。小麦のたんぱく質で白濁しているのが目印。バナナやナツメグを思わせるアロマは、エール酵母の一種、「ヴァイツェン酵母」による香り。フルーティで、女性にも人気
C フルーツビール
副原料に果物を使用した、果実味あふれるビール。サンクトガーレンの「湘南ゴールド」は、同じ名のオレンジを丸ごと使用。最初のひと口からのど越しまで、オレンジのジューシーさが愉しめる
D アイピーエー
18世紀にイギリスからインドに運ばれたビールが起源。暑さによる劣化を防ぐため、防腐効果のあるホップを大量に加え、アルコール度数も高くした。ガツンとした苦みがポイント。クラフトビールの代名詞的存在
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明るい銅色で軽快なモルト感のビール。大きく分けて、イングリッシュスタイルとアメリカンスタイルがあり、前者は若草やダージリン、後者は柑橘類を思わせるホップのアロマを感じられる。飲み頃の温度は10〜13℃
F バーレイワイン
バーレイとは大麦の意。ワイン並みのアルコール度数で、バランスを取るために甘みも強くしている。長期熟成をするものが多くサンクトガーレン(P103)の「el Diablo」は、瓶内熟成が可能。熟成香も愉しめる
G スタウト
「ギネス」の創業者が開発したビール。麦芽が課税対象だった当時、節税のために大麦をローストして使用し、コーヒーをほうふつさせるフレーバーが完成した。ローストの苦みとわずかな酸味が融和したスタイル
文=瀬名清可(Weekend.) 写真=山北 茜、野中弥真人 イラスト=makomo
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※お酒は二十歳になってから。未成年者への酒類の販売は固くお断りします。