桜井ユキ、HOTEL THE MITSUI KYOTOで茶のおもてなしを体験。
秋の京都は茶と千利休ゆかりの地へ〈前編〉
艶やかな着物に身を包む俳優の桜井ユキさん。今年の京都旅は、生誕500年の千利休にちなんだ名所を訪問するのが目的。茶のもてなしに力を入れるラグジュアリーホテル「HOTEL THE MITSUI KYOTO(ホテル ザ ミツイ キョウト)」に滞在し、特別公開中の日本を代表する国宝を拝見した。
桜井ユキ(さくらい ゆき)
24歳のデビュー以来、演技派女優として注目を集め話題のドラマや映画に多数出演。2019年に放送された主演ドラマ『だから私は推しました』(NHK)では、「第46回放送文化基金賞」演技賞を受賞。10月スタートのドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて』(フジテレビ系)と『ボーイフレンド降臨!』(テレビ朝日系)に出演。
二条城前・三井家ゆかりのホテルで
茶のおもてなし
1603年、徳川家康によって築城され、大政奉還の舞台としても知られる二条城。その眼前、「HOTEL THE MITSUI KYOTO」が建つのは、250年以上の長きにわたって三井総領家が置かれていた跡地だ。威風堂々たる佇まいが目を奪う、表玄関の梶井宮門。造営から300年、数回の移転を経て今回、解体・再生された。ホテルが掲げる「継承と新生」の象徴として、日々ゲストを迎えている。
HOTEL THE MITSUI KYOTOでのおもてなしの基本となるのは、千利休によって大成された茶の湯の精神。ホテルに到着すると、凛とした品格に満ちたラウンジで、ウェルカムドリンクの煎茶が提供される。澄んだ風味とふくよかな甘みに、旅の疲れがゆったりと溶けていく。
チェックインを済ませ、客室でしばし二条城の眺望を楽しんだ桜井さんは、ロビー近くにしつらえられた茶居へ。こちらでは三千家のひとつ武者小路千家の茶道家に手ほどきを受けたアンバサダースタッフが、立礼式のお点前を披露してくれる。武者小路千家家元後嗣である千宗屋氏が監修を務め、香港の気鋭建築家、アンドレ・フー氏がインテリアデザインを手掛けた空間は、ホテルが目指す伝統とモダンの融合を見事に体現。茶の湯文化の未来を感じさせる。優雅な所作でお抹茶を点てる着物姿のスタッフ。サラサラという茶筅の音に心が洗われるような、静謐なひとときが過ぎていく。聞けば小学生の頃、茶道部に在籍していたという桜井さん。現在も自宅で、緑茶をはじめさまざまな茶葉を常備し、急須で丁寧にお茶を淹れる習慣を大切にしているという。供された抹茶をひと口。「お抹茶は茶葉の栄養も丸ごととれるし、風味が濃厚で大好きです」とほほ笑む。
間もなく迎える11月は「茶の湯の正月」といわれ、新茶を詰めた茶壺の口を開ける「口切」の茶事が行われるなど、茶道にとって大切な節目。茶居においても、期間限定で口切抹茶とペストリーシェフによるオリジナルの茶菓子が楽しめる。特別な時期に体験する茶菓のおもてなしは、より印象深いものとなるだろう。
モナ・リザに匹敵する国宝鑑賞
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text: Discover Japan photo: Mariko Taya hair & make-up: Naoki Ishikawa
Discover Japan 2022年11月号「京都を味わう旅へ」