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広島県三次町 餅屋《もちのえき》
建築家・谷尻誠がデザインした地元食材を使った餅屋

2022.7.12
広島県三次町 餅屋《もちのえき》<br><small>建築家・谷尻誠がデザインした地元食材を使った餅屋</small>

広島から車や電車で約90分のところに位置する広島県三次町。古民家が建ち並ぶ町の一角に、新たな自由通路「もののけ小路」が新設された。小路と一体となってデザイン、オープンした、餅屋「もちのえき」では、地元食材をふんだんに使ったみたらし団子を販売。設計を手がけたのは、三次町出身の建築家・谷尻誠氏。週末には多くの人でにぎわい、谷尻氏も時間をつくっては店に立っているそうだ。古民家の温かさを残したデザインと、誰でも気軽に集える、餅屋 「もちのえき」の魅力を紹介しよう。

全長30m、幅1.5mの「もののけ小路」

三次町の地域再生と交流拠点

盆地と三川合流が織りなす自然と響き合う、三次町の街並み

谷尻氏の出身地である三次町は、周囲を山に囲まれた自然豊かなまちで農畜産物が豊富。また、江戸期以前から交通の要衝で、日本海と瀬戸内を結ぶ旧街道が南北に走り、その筋道からは、人々の生活道であり、火災発生時に火が燃え広がらないためでもある小路(しょうじ)が、枝葉のように伸びていた。旧浅野藩時代に整備された歴史ある道筋や街並を生かし、町全体がにぎわう姿を取り戻す取り組みとして、餅屋 「もちのえき」を開業した。

「もちのえき」の立地は、三次町「歴みち石畳通り」と、通りの西側にある「三次もののけミュージアム」を新たに結ぶ「もののけ小路」の一角。通路を兼ねていることが特徴で店内を抜けると、観光名所の三次もののけミュージアムに直結する。

「人と人がつながる場所」をテーマに古い町家を改修し、昔懐かしい佇まいを演出。しょうゆ屋が所有する建物だったことにちなみ、三次産醤油と酒麹を使ったみたらし団子が一押しメニュー。餅は料理家・谷尻直子さんの監修のもと、飲食店・カフェの経営、企画を運営する、unité inc.の浅本さんとともに作りあげた。広島県産の上新粉、餅粉、白玉粉を使用し、酒粕がふわっと香る餅は毎日手作り。お茶は広島県の無肥料・無農薬の在来茶で、餅との相性も抜群。

団子を作っているところを見ることができる
西日本の醤油はすこし甘めらしいが、もちのえきのみたらし団子は少し甘さをおさえて作られている

谷尻誠氏からのコメント
僕の生まれたまち三次に、お餅屋さんをオープンします。おばあちゃんが、来る日も来る日もお餅を食べて、我が家の冷凍庫は丸餅で一年中いっぱいでした。まちの人や足を運んでくださる方々が集まって、昔話や未来の話をできる場所を考え続けた結果、お茶とお餅・団子のある、のどかな風景をつくることにいきつきました。幼い頃、小銭を片手に駄菓子屋さんに行ったあの頃のように、子どもたちが集まったり、お年寄りの寄り合いの場所になったり、そして仕事をする場所としても、人と人が接する場所にして行きたいと思います。
ぜひ、三次まで足を運んで頂ければ嬉しく思います。広島まで足を運ぶことができない方にも届けることが出来るようにオンラインの準備もしていますが、そちらは7月中くらいからになりそうです。

建築家
谷尻誠(たにじり・まこと)
1974年 広島生まれ。SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd. 代表取締役。2014年より吉田愛と共同主宰。広島・東京の2ヵ所を拠点とし、インテリアから住宅、複合施設まで国内外合わせ多数のプロジェクトを手がける傍ら、穴吹デザイン専門学校特任講師、広島女学院大学客員教授、大阪芸術大学准教授なども勤める。近年「絶景不動産」「tecture」「社外取締役」「toha」「DAICHI」をはじめとする多分野で開業、事業と設計をブリッジさせて活動している。

もちのえきでは、うつわや書籍も取り扱っている。オンライン販売は7月予定
「つぶあんおはぎ」は広島県産の玄米。小豆は北海道産の無農薬のものを使用

“もちからまちを盛り上げる”を合言葉にした地域交流型の餅屋「もちのえき」。三次の食材を使ったみたらし団子やお茶を味わいに行ってみてはいかがだろうか。

餅屋「もちのえき」
住所|広島県三次市三次町1582番地
tel|080-7312-2504
営業日|木・金・土・日曜
定休日|月・火・水曜
営業時間|10:00〜17:00
もののけ小路の開放時間|9:00〜18:00
https://www.instagram.com/mochinoeki_official/

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