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ホテルジャーナリストせきねきょうこさんに聞きました!
2020年ホテル戦国時代がやってくる!<後編>

2018.3.28
ホテルジャーナリストせきねきょうこさんに聞きました!<br> 2020年ホテル戦国時代がやってくる!<後編>

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、日本のホテル界はいま、戦国時代を迎えている。ホテルジャーナリストのせきねきょうこさんに、最新ホテル事情や傾向、注目すべきポイントをうかがった。
前編ではメイド・イン・ジャパンのホテル文化をメインに、後編ではせきねさんのお気に入り、またはいま注目しているホテルについて記述する。

≪前編の記事はこちらから

Profire:せきねきょうこ
世界中のホテルや旅館を現場取材。雑誌、新聞、ウェブなどで連載多数。小誌でも「せきねきょうこのワンダフル・ホテル・ライフ」を連載中。ホテルのコンサルタントやアドバイザーも務める。www.kyokosekine.com

きめ細やかなサービスこそ “THAT’ S JAPAN"

インターコンチネンタルホテル大阪
ハイアット リージェンシー東京

――そうして数ある日本のホテルの中で、せきねさんがいつ行っても満足できるお気に入りのホテルを教えてください。

たくさんあるので絞るのは難しいですが、あえて挙げるならば、ひとつは 「インターコンチネンタルホテル大阪」。食事が美味しい、スパもいい、そしてスペースづくりが気持ちいい。雰囲気がカジュアルなのに高級感があるんです。コンシェルジュが素晴らしいのも魅力です。“THAT’S JAPAN”のホテルと感じるのは 「ハイアットリージェンシー東京」。食事が美味しく、各施設のクオリティが高い。なによりサービスのきめ細やかさが際立っています。

――“THAT’S JAPAN”の理由も、そのきめ細やかなサービスにあるのでしょうか。

そうですね。こちらがリクエストしなくても、向こうから手を差し伸べてくれるホスピタリティは日本ならでは。そこには、私たち日本人のバックグラウンドに、おせっかいの文化があるのではないかとも思います。海外からのゲストに大阪のホテルの評判が特にいい理由もそこにあるのかもしれません。相手の心を読んで行動するということは、サービスというより、日本人としてのメンタリティなのだと思います。

イラフSUI ラグジュアリーコレクションホテル 沖縄 宮古

――今後オープンするホテルではどうでしょうか。特に注目されているホテルやエリアを教えてください。

沖縄は新しいリゾートホテルの完成ラッシュで、ほかにも 「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」、「ダブルツリー・リゾートbyヒルトン沖縄北谷リゾート」、「イラフSUI ラグジュアリーコレクションホテル 沖縄
宮古」 など、続々と開業します。2019年には「ハレクラニ沖縄」がオープンします。ハワイを代表するホテル 「ハレクラニ」の日本初進出予定で楽しみですね。

また神戸では 「ピーナッツ ホテル」 がオープン予定。スヌーピーをはじめ『ピーナッツ』をテーマにした、個性的なブティックタイプのホテルです。そしてもうすぐ星野リゾートの新ブランドである都市観光ホテル「OMO」 が北海道・旭川と東京・大塚にオープンします。地域との密接なつながりを観光客に紹介して楽しむホテルだそうです。

エリアでは奈良も注目です。これまでは京都泊まりの日帰り客が多かった奈良ですが、2020年には 「JWマリオットホテル奈良」 がオープン予定。京都や大阪にホテルを建設するための際立つ場所が少なくなってきたこともあって注目されています。東京から名古屋まで2時間、そこからさらに2時間かかる三重県の志摩のあたりは、ビジネス利用のホテルには向かないかもしれませんが、リゾートにはこれほど適正な場所はありません。奈良の田園風景の中にある 「オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井」が土地の魅力を生かした隠れ家的なホテルとしてそのロケーションを生かしているように、いままで見過ごされてきたロケーションを魅力として生かすホテルが今後できる可能性があると思います。

文化を大切にすることが 日本のホテルの強みとなる

星野リゾート OMO7 旭川

――今後、建設予定のホテルには外資系も多いですが、日本進出が相次いでいるのはなぜでしょうか。

それだけ、日本が観光国として注目されているということだと思います。日本にとって2017~2020年は、世界に知れた本当の観光国となるための黎明期のような気がします。オリンピック後、ブームが去っても観光国であり続けられるかどうかは、私たちの努力や魅力づくりにかかっていると思います。

――ホテルに関していえば、どのような魅力づくりができるでしょうか。

いろいろな意味で美しい田舎があったり、特筆すべき文化がたくさんあったりと、日本は魅力のある国です。だから海外のホテルのまねをする必要はありません。ゲストは、日本を見たくて、日本の文化に触れたくてやってくるわけですから。たとえば料理であればその土地ならではの食材や郷土料理を提供する、内装であれば日本の伝統を感じられるものを用いたうえでスタイリッシュさや快適性を追求するなど、文化を大切にすることが魅力づくりにつながると思います。それに、英語は話せるに越したことはありませんが、それがマストではないと思っています。話せなくても、片言での身ぶり手ぶりもOK。歓迎している気持ちは、人間同士、伝わります。ただせめて、外国人のゲストを多く迎える
ところであれば、ちょっとしたところに英語、中国語、韓国語くらいは説明書きを添えると親切ですよね。お茶の淹れ方、お風呂の入り方、日本料理の食べ方など、日本文化が垣間見えるちょっとしたところほど、教えると喜ばれるものです。

――最後に、せきねさんが考えるホテルを楽しむコツを教えてください。

ホテルはゲストをもてなそうと手ぐすねを引いて待ち構えています(笑)。旅行やビジネス利用でなくても、ぜひホテルでもてなされて、そのよさや魅力を味わってください。内装が豪華だったり、施設が充実していたりすることだけでなく、心の動きに合わせたもてなしや、もてなしてくれる人とのコミュニケーション、そうした体温を感じられることからこそ、ホテルのよさが伝わってきます。日常とは異なる幸せを感じられる場所、それがホテルの魅力だと思います。

(Text:Miyu Narita)
※この記事は2018年3月6日に発売したDiscoverJapan4月号から一部抜粋して掲載しています。

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