開運堂の「ピジュトリー」
チョコレートでつくられる小さな宝石
福田里香の民芸お菓子巡礼
民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は民芸と深いかかわりのある松本の名店・開運堂の「ピジュトリー」を紹介する。
福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍する。8年間にわたり続けている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中
民藝の街として名高い長野県松本市。この松本の名店が「開運堂」です。本連載でも過去にロールケーキと干菓子をご紹介しています。実は「開運堂」には、まだまだ民藝にちなんだ洋菓子があるんです。
たとえば、民藝運動に深くかかわってきた染織家・柚木沙弥郎が箱絵を手掛けたひと口サイズのチョコレート菓子「ピジュトリー」もそのひとつ。商品名は英語のBijutori(宝石)から命名されたそうです。「ピジュトリー」は、まるで小さな宝石の原石のように丸くころんとしたかたちと、磨りガラスのような風合いをもつ外身が印象的。
ひと粒手に取ってかじると、中にはマカダミアンナッツが。香ばしく煎ってフランス産ゲラント塩をまぶしたマカダミアンナッツは、ビターに仕上げたという自社ブレンドのチョコレートとの相性が抜群で、口に運ぶ手が止まりません。
柚木の箱絵は、中折れ帽を被り携帯電話を片手に持ったひげの眼鏡紳士とユーモアたっぷり。毎年10月からの限定販売なので、ぜひ冬期のうちにお求めください。
開運堂
住所|長野県松本市中央2-2-15
Tel|0263-32-0506
営業時間|9:00〜18:00
定休日|なし
https://www.kaiundo.co.jp/
text : Ricca Fukuda photo : Wakana Baba
2019年3月号 特集「暮しは仕事 仕事は暮し」