「茶禅華」川田智也シェフ御用達のお取り寄せ&レシピ
「LOIN」の豆腐でつくる麻婆豆腐
トップシェフにとって、信頼できる生産者の存在は欠かせないもの。有名店のトップシェフに、御用達のお取り寄せ食材と家庭でできるレシピを教えてもらう《トップシェフ御用達のお取り寄せ&レシピ》。今回は南麻布「茶禅華(さぜんか)」の川田智也シェフに、和歌山・LOIN(るあん)の豆腐を使ったレシピを紹介してもらいました。
「自然と人が調和した真の味わい」
茶禅華 料理長
川田智也(かわだ・ともや)さん
東京調理師専門学校卒業。「麻布長江」、「日本料理 龍吟」で修業した後、台湾の「祥雲龍吟」立ち上げに参加。2016年に帰国し、2017年2月「茶禅華」を開店。同年、ミシュランガイド二つ星を獲得した。さらに2019年の「アジア50ベストレストラン」で23位にランクインしている
「るあん」の小澤聖さんとのご縁は、コロナ禍の中で、私たちシェフが医療従事者にお弁当を届ける「Smile Food Project」で、豆腐を提供したいと申し出てくださったのがはじまりです。お店では「ざる豆腐」を使っていますが、今回は、木綿豆腐の「地釜とうふ」をお取り寄せしました。
小澤さんの豆腐は、大豆の味がしっかりと濃くて、清らかな水の力を感じます。「真味只是淡(真の味は淡に宿る)」という言葉があります。私が中国料理をつくる上で、とても大切にしている概念なのですが、この豆腐にも、炎の力強さと水の清らかさのバランスがとれた「淡」というイメージがあるのです。
火と水、大豆、海のにがりという自然と人とが調和した小澤さんの豆腐は、真の味わいなのだと感じます。いつか龍神村を訪れたいです。
茶禅華
住所|東京都港区南麻布4-7-5
Tel|(予約専用番号)050-3188-8819
営業時間|17:00〜20:30(L.O.)
定休日|不定休
https://sazenka.com
地釜とうふ
国内産大豆を100%使い、かまどで昔ながらの薪を使った製法で炊き上げる。濃厚な大豆の香りと甘みが味わえる木綿豆腐。
価格|350g 356円
https://loin-ryujin.stores.jp/
「龍神村に伝わる文化を継ぎたい」
Tofu & Botanical Kitchen LOIN
小澤 聖(おざわ・きよし)さん
「真味只是淡」。中国・明代の書物『菜根譚』に出てくるこの言葉を、私は、書道家として中国の文化にも詳しかった祖母から教えてもらいました。私の豆腐に「淡」というイメージが浮かぶ、と川田智也シェフに言っていただき、いまは亡き祖母を思い出し、ご縁を感じています。
「木こりがしたい」と約20年前に、妻の出身地の和歌山に移住しました。多くの出会いに支えられ、いまは龍神村で、かまどを使って薪の炎で炊き上げる豆腐をつくっています。時には水を強く感じる豆腐もあれば、炎が強い豆腐ができる日もある。
「淡」という言葉で、川田シェフが私のつくる豆腐の“ブレ”をわかってくださったことがうれしいです。この地に伝わる豆腐を、文化を、継いでいきたいと思います。必ず「茶禅華」に伺います。
Tofu & Botanical Kitchen LOIN
住所|和歌山県田辺市龍神村小又川259
Tel|0739-79-0637
営業時間|ランチ11:00〜、13:00の2部制、カフェ15:00〜18:00
https://www.loin-ryujin.com
麻婆豆腐
豆腐の味わいが濃厚で清らかなので、あえて鶏ガラスープは使わずに「水」だけで仕上げた。さらに、中華調味料「豆豉」の代わりに、ひき割り納豆を使用するので、より手軽に家庭で本格的な中華の味わいを楽しめるレシピだ。豆板醤やショウガ、ニンニクの辛みで、身体を温めて汗を出し、暑い夏を健康に過ごしたい。
材料(4人前)
地釜とうふ 1丁
豚ひき肉 200g
ひきわり納豆 1パック(45g)
豆板醤 20g
甜麺醤 20g
ニンニク 10g
ショウガ 10g
ラー油 10g
醤油(濃口) 30g
水 150g
長ネギ 40g
山椒粉 少々
水溶き片栗粉 適量
つくり方
①中華鍋(なければフライパン)を熱して油(分量外)をひき、中火で豚ひき肉、みじん切りしたニンニクとショウガを焼きつけるように炒める。
②豚ひき肉の水分が透き通るまで炒めたら、一度火を止める。豆板醤、甜麺醤、ひきわり納豆、ラー油を加え、再び炒める。
③②に分量の水を入れて沸かし、材料と馴染んだら地釜とうふ、醤油、山椒粉を加えて、ふつふつと煮る。
④水溶き片栗粉を入れてとろみをつけたら、強火にして、みじん切りした長ネギを加えて炒め、仕上げる。
text: Tomoko Honma photos: Shinpei Fukazawa
2020年9月号 特集「この夏、毎日お取り寄せ。」