TRADITION

京都で堪能!陶芸家・上田恒次の最高傑作の空間「松乃鰻寮」

2019.9.17
京都で堪能!陶芸家・上田恒次の最高傑作の空間「松乃鰻寮」
松乃鰻寮
1960年代に、鰻料理の祇園松乃の住居を陶芸家の上田恒次が設計し、後に店舗に転用した鰻料理店。土地に茂っていた竹を天井に使うなど自然を生かした建物だ

十二段家 本店の主人に「料理も民藝のひとつ」と言った民藝運動の牽引者たち。民藝は眺めるだけでも使うだけでもありません。その精神は、見て、味わうこともできるものなのです。《京都の民藝は美味しい》後編は、陶芸家・上田恒次が京都郊外の自然の中に自然美を取り入れて設計した「松乃鰻寮」を紹介します。

松乃鰻寮の本家は、祇園の松乃である。先代女将が、陶芸家で建築にも造詣が深かった上田恒次と懇意で、住居として上田邸近くの「竹やぶに家を建てないか?」ともちかけた。こうして誕生したのが現在の松乃鰻寮の建物である。設計は上田恒次がすべて行った。

上田恒次設計の全容が見渡せる吹き抜けロビー。車箪笥は江戸後期のもので富山から運んできた。上に飾られているのは上田恒次作、直径50㎝超の大皿

松乃の住居は、上田の自宅同様、民藝の精神を反映させたものだった。天井には、元の竹やぶの竹を並べ、廊下はケヤキの一枚板。階段箪笥を設け、重厚な木材をふんだんに使ったがっしりとしたつくりの家だった。後に民藝様式と称される建築の走りである。小さいながらもきちんとした書院もしつらえた、非常に品のある建物だ。

上田恒次の青磁。上田の壺はほかにも

本家の松乃と同様、鰻を出す。京都の蒲焼は東京と同じに蒸してから焼く。2代目女将の松野宏美さんは、若き日、益子の濱田庄司邸で行儀見習いをしたという。

松乃鰻寮
住所|京都府京都市左京区岩倉木野町189
Tel|075-701-1577
営業時間|11:30~15:30(L.O.14:30)、17:00~21:00(L.O.19:30)
定休日|木曜、最終週のみ水・木曜 ※変更の場合あり
https://unagi-matsuno.com/rakuhoku

《京都の民藝は美味しい》
(前編)ギャラリーのように民藝品が並ぶ、京都の料理店「十二段家 本店」
(後編)京都で堪能!陶芸家・上田恒次の最高傑作の空間「松乃鰻寮」


text=Hiroyuki Aino,Michiko Uemura photo=Mariko Taya
2019年10月特集「京都 令和の古都を上ル下ル」

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