菓子研究家・福田里香さんが贈る。
愛(め)でたいお菓子【前編】
新年のご挨拶、季節の祭事、記念日や誕生日、卒入学、それから日々のちょっとした幸運まで。菓子研究家・福田里香さんがお届けするのは、見ても食べても愛くるしいスイーツギフト。今回は、自分への贈り物にもぴったりなさまざまなお菓子を前後編記事でご紹介します。
〈教えてくれた人〉
福田 里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。小誌で「民芸お菓子巡礼」を連載中など書籍や雑誌で活躍するほか、食品関連の商品開発も多く手掛ける。今秋、レシピを担当した焼菓子が発売。著書に『民芸お菓子』(小社)、『新しいサラダ』(KADOKAWA)など
愛でたいは、めでたいに通じる説
「おめでとう」の言葉と一緒にお菓子を渡し、相手がその包みに瞳を輝かせたところから、すでにことほぎがはじまっています。だから、お祝いのめでたい場面で贈るお菓子は、パッケージにもこだわりたい。それは単に美麗に包んであるということではないと思います。
擬人化して表現するなら、お菓子の体調(鮮度)を保全しつつ、性格(味)を的確に表現したすてきな洋服(包装)を着ていることが評価基準。
「めでたい」は「愛でたい」と根底でつながっています。美味しいのはもちろん、まず包装を見た時点で「わぁっ」と歓声が上がるお菓子をご紹介しましょう。包みを解くごとにさらに笑顔になること、請け合いです。
召し上がる前に「瞳(め)で愛でる」要素がたくさんある品こそ、贈り物に向くお菓子。自分に贈るのもありですよ。
福田さんおすすめのお菓子
「クッキー詰め合わせ」/ステファノ アンナ
Data
価格|1700円
内容量|14種/31枚
原材料|小麦粉、砂糖、バター、カカオほか
賞味期限|製造日から約10日
問い合わせ先|ステファノ アンナ
所在地|東京都
注文方法|TEL/ウェブ
電話番号|0422-43-1168
www.stefanoanna.jp
食べるのが惜しい老舗和菓子店の愛でたい縁起菓子
「縁高折」/とらや
日本の祝い菓子を贈るなら、とらや。一度は贈ってみたいし、いただいてみたい。杉の正目板を使った縁高折の蓋を開けると、ほのかな木の香が圧巻。日の出に松、鶴、亀のおめでたい意匠を存分に愛でたい。もちろん上品な甘さのお味は大変美味。
Data
価格|5519円
内容量|3種/463g
原材料|白小豆、小豆、砂糖、小麦粉、山芋ほか
賞味期限|当日中
問い合わせ先|とらや 赤坂店
所在地|東京都
注文方法|店舗/TEL
※完全予約販売、数量限定、個数等によって納期が異なる、店舗での引き取りは午後以降のみ(一部の地域で配達あり)
電話番号|03-3408-2331
www.toraya-group.co.jp
カラフルな箱を開ければ真っ白な世界へ。
聖夜にぴったりな菓子
「MOTHER OF MERCY」/但馬屋老舗
キリシタン大名の土地柄の大分県竹田市に、1804年から続く旧岡藩御用菓子司。モチーフがマリアさまと十字架なのはそんな由来から。和菓子の名店が美術家ミヤマケイとコラボしたミントとミルク味の落雁。静謐な美しさと妙味にあふれた今様の味。
Data
価格|1620円
内容量|5個(マリア像:ミルク味3個、十字架:ミルクミント味2個)/86g
原材料|砂糖、寒梅粉、コーンスターチ、乳糖ほか
賞味期限|製造日から60日間
問い合わせ先|但馬屋老舗
所在地|大分県
注文方法|TEL/ウェブ
電話番号|0974-63-1811
https://tajimaya-roho.co.jp
※竹田の石畳やステンドグラスをイメージした箱デザインは藤森泰司アトリエ
text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
Discover Japan 2021年12月号「ストーリーのある贈り物」