レオス・キャピタルワークス
代表取締役 藤野英人さん
現代アーティスト・Souun♡に魅せられて
2017年より現代アート作品の制作に取り組むSouun♡。これまで書で表現していた想いを転じた作品には、彼ならではの世界観が投影されている。その作品に魅せられた方々にお話をうかがう《現代アーティスト・Souun♡に魅せられて》。今回はレオス・キャピタルワークス代表取締役の藤野英人さんにお話をうかがった。
代表取締役 最高投資責任者
藤野英人(ふじの・ひでと)
国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年独立・創業。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。一般社団法人投資信託協会理事。
きっかけは一冊の本から
──お二人の出会いのきっかけを教えてください。
双雲 僕がたまたま藤野さんの本を読んであまりに感動したから、SNSを通じて一方的にメッセージを送りつけた(笑)のがきっかけです。
藤野 ちょうどその頃、会社を引っ越すにあたって、縁起のあるものを用意したいと思っていたんです。僕たちの主力商品である「ひふみ投信」の名前には、「火風水土心」という裏の意味もあるんです。それで、それぞれの文字を5つの会議室の名前にしよう、せっかくのご縁だから、双雲さんにその書をお願いしようということになりました。
そのために、私を含め創業メンバー全員で双雲さんを訪ねたんです。かなり緊張して出掛けたんですが、部屋に入ってすぐ「毎日がパラダイス」という書に全員が心を射抜かれた。「そうだ、人生ってそういうことだ!」と、意気投合しました。そして実際に書いてもらい部屋に掛けたら、不思議なことに、とてもしっくりとはまったんです。
双雲 それはとてもうれしい。書道家はもともとシャーマン。目に見えない神の言葉を文字にして亀の甲羅などに刻んでいたわけです。その文字が波動(エネルギー)を整える。だから書は、いい文字をただ書けばいいんじゃなくて、どういうイメージをしながら書くかが重要なんです。
現代アーティスト・Souun♡の魅力と可能性
──双雲さんが現代アーティストとして制作活動をはじめたと知ったときは、どう思われましたか。
藤野 開始当初から作品もずっと見ていたし、夢中になっていく様子も伝わってきて、「これだよね」と思いました。好き・嫌いという軸と、できる・できないという軸を考えたときに、好き・できるが一番いいに決まっているし、嫌い・できないことはやらないほうがいい。でも好き・できないは、好きなんだから絶対できるようになる。
双雲さんにとって、アートってきっとそういうことなんだろうなと思ったんです。僕はもともと、双雲さんって、マイルス・デイビスやピカソに近いと思っていた。二人とも、大きな世界観は最初から変わらないんだけれども、色やかたち、方法などの表現が時間によって変化している。それは双雲さんにも共通していると思います。
双雲 藤野さんは、僕がいままで言葉で表現していたものをアブストラクトで表現してもわかってくれる。僕は、アートを理解してその道に進んだわけじゃなくて、勢いで進んでいるから、藤野さんのように感性の高い人に僕の感動をわかってもらえることはとても心強いし、自信につながります。
藤野 今度の個展のタイトルは「ピカソ、ごめん。」展だけど、先日、パリのピカソ美術館に行ったとき、先に謝っておきました(笑)。将来的には、「ピカソって誰?」という質問に対して、「昔の武田双雲」と答える日が来ると思いますよ。
双雲 すごいこと言いますね(笑)。「ごめん」にはいろいろな意味があって、時代に恵まれているという想いもあるし、僕は人に恵まれる運がとんでもなく強い。藤野さんともそうだし、最高のタイミングで最高の人と出会える。そういう運の強さに対する「ごめん」もあります。
藤野 双雲さんの強みは、時間や空間を含め、あらゆる束縛から解放された人生観だと思います。そういう次元にとらわれていない。「毎日がパラダイス」も、痛みやつらさもあるけど、痩せ我慢するんじゃなくて、「そういうこともあるよね」と肯定してこそのパラダイスでしょう。
双雲さんの現代アート作品も、双雲さん自身がそうであるように自由だし、「みんな楽しく生きようぜ」という感覚から生まれたもの。そうした作品が普及することが、分断された世界を救うことにつながると思います。
文=成田美友 写真=山平敦史
2020年1月号 特集「いま世の中を元気にするのは、この男しかいない。」
1|レオス・キャピタルワークス 代表取締役 藤野英人
2|アカツキ 代表取締役CEO 塩田元規