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松本幸四郎、市川猿之助、片岡愛之助がロシアに漂流?三谷幸喜作のシネマ歌舞伎
『三谷かぶき 月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』

2020.8.2
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松本幸四郎、市川猿之助、片岡愛之助がロシアに漂流?三谷幸喜作のシネマ歌舞伎<br><small>『三谷かぶき 月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』</small>
©松竹株式会社

三谷幸喜さん作・演出で昨年6月に歌舞伎座で上演され話題となった新作歌舞伎「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」が、シネマ歌舞伎となって全国の映画館に登場。

松本幸四郎さんをはじめ、市川猿之助さんや片岡愛之助さん、松本白鸚さんなどの歌舞伎役者陣のほか、三谷作品ではお馴染みの八嶋智人さんも出演し、エンターテインメント性たっぷりに、歌舞伎の古典的表現を織り交ぜた冒険コメディです。

漂流したロシアからふるさと日本を目指す!

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本作は、みなもと太郎の人気歴史ギャグ漫画『風雲児たち』を原作とした新作歌舞伎。江戸時代を生きた実在の人物である大黒屋光太夫(だいこくやこうだゆう)が船頭を務める船・神昌丸が遭難に遭い、見知らぬ異国の地・ロシアに漂流。さまざまな困難に直面しても日本へ帰ることを諦めず運命と戦い続ける、歌舞伎ロードムービーともいえる作品だ。

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主人公・大黒屋光太夫を演じるのは、襲名披露を経てさらに活躍の幅を広げる松本幸四郎さん。現在放送中のドラマ「半沢直樹」でも大活躍を見せる市川猿之助さんは、遭難した船の乗組員・庄蔵と、ロシアで出会う女帝・エカテリーナの二役を見事に演じて見せる。

女帝・エカテリーナを演じる市川猿之助さん。一人二役の早替わりや男女の演じ分けに注目だ ©松竹株式会社

同じく乗組員・新蔵を演じるのは、こちらも前作の「半沢直樹」を機に大きな注目を集めた片岡愛之助さん。

片岡愛之助が演じる新蔵と市川猿之助が演じる庄蔵。敵か味方か、信用ならない新蔵に心揺さぶられる ©松竹株式会社

そして、時代物や世話物、新歌舞伎の立ち役として重厚かつスケールの大きな芝居で魅了するのは、松本白鸚さん。エカテリーナの最側近であるポチョムキンと、神昌丸の船親司である三五郎という本作に欠かせない役どころを演じる。

松本白鸚さんと松本幸四郎さんの掛け合い。親子共演も見どころのひとつだ ©松竹株式会社

また三谷作品ではお馴染みの八嶋智人さんも、本作で歌舞伎に初挑戦。光太夫たちの日本への帰還の手助けをする博物学者キリル・ラックスマンと息子のアダム・ラックスマンの二役を演じ存在感を示す。

異国の地・ロシアで出会ったラックスマン親子に翻弄される乗組員一行。八嶋さんが現れると自然に客席からは笑いが起こる ©松竹株式会社

そのほか、歌舞伎座上演時には「教授風の男」として物語をナビゲートする役どころを演じていた尾上松也さんは、シネマ歌舞伎版では語りべとして、物語の世界を伝えている。

幸四郎さんとその息子であり、いまジワジワと人気上昇中の市川染五郎さん、こちらの親子共演も必見©松竹株式会社

「歌舞伎座だから逆に自由にやらせてもらった」

三谷幸喜さんが初めて歌舞伎の作・演出を担ったのは、2006年に渋谷・PARCO劇場で上演された『決闘!高田馬場』。「高田馬場の決闘」を題材にし、本作と同じく松本幸四郎さん(当時は市川染五郎)や市川猿之助さん(当時は市川亀治郎)らが出演し、早替わりで複数の役を演じるなど注目を集めた。

それから約13年のときを経た2019年6月、松本幸四郎さんと再びタッグを組み、本作で満を持して歌舞伎座に初登場。

三谷さんは歌舞伎座での上演時に「前回の『決闘!高田馬場』はPARCO劇場でやったので、“歌舞伎っぽく”つくらないと歌舞伎じゃなくなってしまうのではないかという不安があった。今回は歌舞伎座でやり、これだけの俳優の皆さんが集まって、何をやっても歌舞伎になるので、逆に自由にやらせてもらおうと思って」と意気込んでいた。

本作は、新作歌舞伎および歌舞伎舞踊の脚本を対象とした、娯楽性に富んだ歌舞伎脚本に贈られる、大谷竹次郎賞を受賞。三谷さんの得意とする人物の描き分けの鮮やかさや喜劇性、そして歌舞伎の古典的な手法も取り入れつつ作られていることが評価された。

授賞式では、「歌舞伎俳優の方々と仕事をするといつも思いますが、本当にいい俳優さんがそろっている。こんな素敵な方々にあてた脚本が書けて、素晴らしい方々と一緒に作品をつくることができたことをうれしく思っております。また、俳優さんにあてて書くのと同じように、歌舞伎座にあてて書きたいなという思いがありました。僕ができることを全部やってしまおう、そんな気負いがありました」と、初めての歌舞伎座公演に臨んだ想いを明かしている。

さらに今回は、作・演出のみにとどまらず、三谷さんがシネマ歌舞伎版の監修としても映像編集に参加。

映画化について三谷さんは語る。

「歌舞伎のホンを書いて演出もし、映画の脚本を書いて監督もする人間としては、自分の関わった歌舞伎がシネマ歌舞伎として生まれ変わり、各地の映画館で上映されるなんて、もう夢のような話で、ワクワクを通り越してガクガクしています。せっかくなので、舞台中継を映画館で観るという「体験」を越えて、歌舞伎でも映画でも漫画でもない(原作はみなもと太郎さんの長編漫画です)、新しい『月光露針路日本つきあかりめざすふるさと 風雲児たち』をお目に掛けたいと思っています。お楽しみに」

舞台の世界、映画・映像の世界それぞれで第一線を走り続ける三谷さんが、自らの舞台作品を映画として届ける、貴重な一本をぜひ映画館で堪能しよう。

シネマ歌舞伎第36弾
『三谷かぶき 月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』
公開日|2020年10月2日(金)
上映館|東劇、新宿ピカデリーほか全国公開
料金|一般2200円、学生・小人1500円
原作|みなもと太郎
作・演出|三谷幸喜
出演|松本幸四郎、市川猿之助、片岡愛之助、八嶋智人、坂東新悟、大谷廣太郎、中村種之助、市川染五郎、片岡松之助、市川寿猿、市川寿猿、澤村宗之助、松本錦吾、市川男女蔵、市川高麗蔵、坂東竹三郎 坂東彌十郎、松本白鸚、尾上松也(語り)
撮影公演|2019年6月 歌舞伎座公演

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