「能を次世代につなぐために、いまできることを全力でやりたい」宝生流シテ方・佐野登さんの想いに共感し、小誌では「未来につながる伝統 ーBack to Basicsー 能公演」を後援しています。3回目となる2018年2月3日(土)の演目は『道成寺』。シテが小鼓と一騎打ちで舞う「乱拍子」や、落ちてくる鐘に飛び込む演出の「鐘入り」など、見ごたえのある大曲です。
この公演までに佐野さんは、和歌山にある古刹・道成寺に参詣したり、装束を新調したりと、決意をもって公演に臨む準備を進められています。小誌ではその道のりに密着し、ひとつの公演に懸ける能楽師の想いと、脈々と受け継がれてきた伝統芸能「能」の面白さを、読者の皆さまに伝えたいと思っています。
また公演では、スペシャルゲスト・SAMさん(TRF)を招き、はじめての方でも鑑賞のポイントがわかるトークショーも行います。アフターパーティーでは、出演者と直接交流できる場もございます。
「ハードルが高い」と思われがちな能の世界ですが、そこに尻込みしていてはもったいありません。この公演を能へ関心をもつきっかけにしていただければ幸いです。
TRFをはじめ多数アーティストの振付、コンサートプロデュースを行う。次世代ダンサー育成、リサーチのため、ダンサーオーディションも手掛けるほか、2016年2月には年齢を問わずダンスに触れる機会の拡大を目指し「一般社団法人ダレデモダンス」を設立。自らレッスンやワークショップを行うなど幅広く活動
日時 | 2018年2月3日(土) |
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時間 | 13:00開場/14:00開演~17:45終演予定 ※終演後アフターパーティーを実施(18:15~19:15) |
会場 | 宝生能楽堂 東京都文京区本郷1-5-9 |
座席数 | 490席 |
主催 | 佐野 登 |
後援 | Discover Japan |
13:00 | 開場 |
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14:00 | 開演 |
スペシャルトークショー SAM×佐野 登 |
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14:30 | 休憩 |
14:40 | 舞囃子「高砂」 宝生和英ほか |
15:00 | 狂言「墨塗」 三宅右近ほか |
15:30 | 休憩 |
16:00 | 能「道成寺」佐野 登ほか |
17:45 | 終演 アフターパーティー:宝生能楽堂ロビー(19:15まで) |
SS席 | 15,000円 ※公演後のアフターパーティー付 |
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S席 | 10,000円 |
A席 | 8,000円 |
B席 | 7,000円 |
C席 | 5,000円 |
学生 | 3,000円 |
Confett(カンフェティ)
Tel:0120-240-540 ※通話料無料
(受付時間 平日10:00~18:00
オペレーター対応)
Eメール:shihoukai202@gmail.com
Tel:03-3811-4843(宝生能楽堂)
※SS席はshihoukai202@gmail.comへ申込
「道成寺(どうじょうじ)」、「翁(おきな)」、「石橋(しゃっきょう)」、「乱(みだれ)」といった曲は、〝披(ひら)きもの〞といわれ、能楽師がはじめて演じるときは〝披(ひら)く〞といいます。「道成寺」は、歌舞伎や文楽などでも題材としてよく取り扱われ、ひとつのジャンルを形成している曲です。能の世界では〝これをやって一人前〞という登竜門的位置づけにあります。曲中のさまざまな演出の中、一人で装束付けを行い、身体的な技など、体力も必要とされ、プロとして必要最低限のスキルが詰まっているからでしょうか。私は25年前に披きました。
現代に残る能の曲はおよそ200曲前後。能楽師にとって一生演じない曲もあれば、幾度も演じる曲もあります。1回限りのこともあり、むしろそのほうが多いかもしれません。そして公演は1日限り。同じ番組・出演者で連続公演は致しません。これはもうめぐり合わせです。舞台と見所(客席)、舞台上の演者たち、演者と上演曲、すべての出会いは一期一会。おのずと公演への意識、かける思いは極みとなります。これまでに多くの知識や経験を得た反面、当時ほどの体力はなくなりました。いま、道成寺を演じることは身体的にも精神的にも、想像以上に準備と心構えが必要となるでしょう。
本公演では、私が道成寺を演じるまでにたどってきたプロセスを、鑑賞を通して皆さまに追体験していただきたいと思っています。「Back to Basics」今回のテーマにあるように、基本に立ち返り、原点を見つめ直し、次世代へ何を伝えるべきか?皆さんと共有しながら、一人ひとりの等身大の未来へつながる伝統を、ご一緒に創造できるような場にしたいと思っています。
紀州は天台宗の古刹、道成寺に伝わる「安珍・清姫伝説」を、お聞き及びの方は多いだろう。旅の修行僧、安珍に惚れた清姫が、その後裏切られたと知って後を追い、最後には道成寺の鐘に逃げ込んだ安珍を鐘ごと焼き殺すという物語は、「道成寺物」として、広く日本古典芸能の題材とされてきた。中でも能における「道成寺」は、大曲として知られている。若手能楽師にとっては人生のひとつの目標、いわば登竜門だ。この特別な演目を、宝生流シテ方能楽師、佐野登さんは33歳のときに初演。以来25年ぶりとなる来年、再演の決意を固めた佐野さんが、公演を控え、聖地・道成寺を訪れた。