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空間コーディネーター・石村由起子さんが行く
“発酵”と“食”でととのう滋賀旅

2022.5.22
<small>空間コーディネーター・石村由起子さんが行く</small><br>“発酵”と“食”でととのう滋賀旅

「発酵」を取り入れれば、心も身体も“ととのう”――そんな価値観が広まりつつある。滋賀県は発酵食“鮒ずし”が郷土食の筆頭に上がるほど、発酵が生活に根づく土地だ。その滋賀に2021年末、「湖(うみ)のスコーレ」が誕生した。発酵をテーマとした新拠点を軸に、育まれる豊かな“発酵”と“食”を訪ねてみたい。

石村 由起子(いしむら・ゆきこ)さん
香川県高松市生まれ。空間コーディネーター。カフェ&雑貨店の草分けである奈良の「くるみの木」を39年前に開業。香川「まちのシューレ963」、奈良「鹿の舟」など地域施設をプロデュース。2021年には三重県に「くるみの木 暮らしの参考室」がオープンした

琵琶湖を中心に抱く
風土に育まれた発酵食

四方を山々に囲まれ、約460本もの大小の川から水が注ぎ込まれる、日本最大の湖・琵琶湖。その成立は約400万年前にもさかのぼるといわれ、世界でも有数の古代湖である。長い歳月を経て、琵琶湖は約40万年前からいまの場所に定まったとされる。以降、琵琶湖に暮らす生き物は独自の進化を遂げた。現在、琵琶湖に生息する約1700種類以上の水生動植物のうち、60種類以上が固有種。人間の営みは動植物に比べるとずいぶん新しいが、少なくとも縄文時代には琵琶湖周辺で暮らし、湖の恵みを享受してきた足跡が残る。そんな悠久の歴史が流れる琵琶湖を中心に抱く滋賀県には、固有種のニゴロブナを発酵させた郷土食・鮒ずしをはじめ、味噌づくりや酒造りといった発酵の技が脈々と受け継がれる。

昨年12月、滋賀県長浜市の旧市街地にオープンした「湖のスコーレ」は、チーズや味噌、麹などの製造所を備えた「発酵」をテーマとする商業文化施設だ。この企画・監修を手掛けた空間コーディネーターの石村由起子さんと、滋賀の未来を担う「発酵と食の匠」たちの元を訪ねる旅に出掛けた。

滋賀の未来を担う「発酵と食の匠」たち

約480年の歴史をもつ老舗の酒蔵「冨田酒造」
琵琶湖食材を再構築した究極の「鮒寿し懐石」
滋賀の熟成チーズを牽引する「つやこフロマージュ」
滋賀×江戸前を発信する寿司店「京極寿司」
滋賀の新しい“学び舎”「湖のスコーレ」
滋賀の文化に欠かせないうつわギャラリー「NOTA_SHOP」

 

480年の歴史をもつ老舗の酒蔵「冨田酒造」
 
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text:Makiko Shiraki(Arica Inc.) photo:Yayoi Arimoto
Discover Japan 2022年4月号「身体と心をととのえる春旅へ。」

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