FOOD

いま長野のワイナリーが熱い!
千曲川 ワインツーリズム【後編】

2022.2.10
<small>いま長野のワイナリーが熱い!</small><br>千曲川 ワインツーリズム【後編】

日本ワインはいま、猛烈な勢いで進化している。ワイン通が日本ワインは質的に取るに足らないとしたのは過去のこと。その進化の中心地のひとつが、長野県の小諸から東御、さらに長野市に至る千曲川流域の「千曲川ワインバレー」だ。ワインジャーナリストの石井もと子さんと、いま熱いこのエリアを訪ねます。

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千曲川ワインバレーを巡る
1泊2日のおすすめルート例

<2日目>
10:00 「ジオヒルズワイナリー」

12:30 「リュードヴァン」でランチ

15:30 「カーヴハタノ」

ジオヒルズワイナリー

中央の二人が隼人夫妻、父・正樹さん(右)がブドウ畑を開いた。名物女将でもある母・洋子さん(左)は接客担当

日本とベトナムをつなぐ
丘の上の絶景ワイナリー

小諸で温泉旅館「中棚荘」を営む富岡家が2018年に創業したワイナリー。醸造責任者はベトナムでボランティアとして日本語教師をしていた三男の隼人さん。「ジオ」はベトナム語で風の意味。御牧ヶ原で育まれたワインが台地を吹く風に乗り、多くの人に届くようにとの願いが込められている。故郷の小諸でこの地の個性をもつワインを造れたら、いつかもうひとつの故郷ベトナムでもワインを造りたいと夢を語る隼人さんは、千曲川ワインアカデミーで学び、いまも猛勉強中。ワイナリーにはカフェも併設され、ベトナム料理とワインが楽しめる。

住所|長野県小諸市山浦富士見平5656
Tel|0267-48-6422
営業時間|10:00〜16:00
(ランチは土・日曜、祝日の11:30〜14:00のみ)
定休日|不定休

隼人さんのベトナム人の奥さまがカフェの担当。奥さまがパンから手づくりするベトナム風サンドイッチのバインミーやフォーは優しい味わい
ハイン・フック スパークリング2019
小諸産シャルドネからシャンパーニュ製法で造った初ヴィンテージ。3900円
カム・オン・シャルドネ2020
小諸産シャルドネを使用。爽やかな柑橘や、熟した白桃の風味をもつ。2500円
カム・オン・メルロー2020
カム・オンはベトナム語でありがとうの意。支えてくれる人たちへの感謝を込めて。2500円

リュードヴァン

リュードヴァンはフランス語で「ワイン通り」の意味。ブドウ畑の角には、通りの名ではなくブドウの品種名をフランス風のデザインの標識で表示

ワインのある豊かさを提案、進化を続ける
新緑の香り豊かなソーヴィニヨン・ブランをつくり、醸造家として頭角を現した小山英明さん。リュードヴァンで小山さんが造るワインはどれも香りが艶やかでふくよかな味わい。昨年、ワインと食のマリアージュをゆっくり楽しんでほしいと2部屋だけの宿泊施設をオープン、これで小山ワールドは完成かと思いきや、「次のステップのはじまり」と小山さん、谷を隔てた祢津御堂の5.2haの畑に昨年から苗を植えはじめ、この畑からはよりリーズナブルな価格で、リュードヴァン品質のワインを消費者に届けたいそう。数年先の楽しみが増えた。

住所|長野県東御市祢津405
Tel|0268-71-5973
営業時間|軽食10:00〜11:00、14:00〜16:30、
ランチ11:00〜14:00、ディナー18:00〜(要予約)、
ショップ・テイスティング10:00〜17:00
定休日|レストランは不定休、
ショップは年末年始以外営業
https://ruedevin.jp

ブルーの窓枠が印象的なテイスティング・ルーム兼カフェ・レストラン
衛生管理が行き届いたワイナリー。昨年から植樹をはじめた新しい畑には専用のワイナリーを建てる
洋ナシのコンポートにはレザミ・コレクションのポワレを。信頼の置ける友人(レ・ザミ)が育てた洋ナシから造るスパークリング
ランチのオードブルのパテ・ド・カンパーニュ1430円。ワインは試飲が200円から、グラスは500円からと手軽な価格
トリオ2020
カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランのボルドー3品種のブレンド。4800円
ソーヴィニヨン・ブラン2020
リュードヴァンの代名詞のワイン。青い香りの中に、甘い果実の香りをもつ。4500円
ピノノワール2020
柔らかく繊細でありながら骨格のしっかりしたブルゴーニュスタイルのワイン。4800円

オーナーの自宅に
招かれたかのような滞在ができる

宿泊は1日2組限定。夕食はワイナリーのレストランでワインとともに堪能。宿に帰れば、小山さんが食後酒をサービスしてくれることも。

シャンブルドット
宿泊については、メールで問い合わせを(hotel@ruedevin.jp)

カーヴハタノ

ビジターを受け入れているがワインは売り切れていることも

長野のブドウに魅せられた
栽培醸造家のワイナリー

波田野信孝さんの造るシャルドネは、冷涼な鞍掛のテロワールを反映した伸びやかな酸をもちながら背骨がすーっと通ったエレガントなワイン。最初は「ヴィラデストワイナリー」に料理人として就職を希望していたという波田野さんだが、ワイナリー部門に配属され、畑とワイナリーの双方で働くうちに、栽培醸造家の道を歩むことに。やがて東御市鞍掛の契約栽培畑を引退する農家から引き継ぎ、2017年にカーヴハタノを創業した。

住所|長野県東御市新張525-4
Tel|080-6936-9646
営業時間|5〜9月12:00〜17:00
(Facebookまたは電話で確認)
定休日|月〜金曜

取材で訪れたのは11月上旬。最後の仕込みの様子
クラカケシャルドネ2020
その名の通り鞍掛の自社畑のシャルドネを使用。伸びやかな酸をもつワイン。3960円
クラカケメルロー2019
東御市鞍掛にある自社畑のメルローで醸造。豊かな果実味とオーク樽の風味が調和。3630円
グラン シャルドネ 2019
シャルドネのトップ・キュヴェ、上品で一段と味わい深くなっている。7150円

text: Motoko Ishii photo: Yoshihito Ozawa
Discover Japan 2022年1月号「酒旅と冬旅へ。」

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