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日本伝統の発酵食、究極の鮒鮓を訪ねて。『徳山鮓』

2018.6.22
日本伝統の発酵食、究極の鮒鮓を訪ねて。『徳山鮓』

琵琶湖の北部に位置する小さな町、余呉。ここに全国の食道楽が憧れてやまない美食宿がある。彼らの目当ては、発酵の世界へと導かれた料理人・徳山浩明さんが生み出す“究極の鮒鮓(ふなずし)”である。

美食家が憧れる和のオーベルジュとは?

「発酵は、すべての和食の名脇役なんです」
語るのは、徳山鮓の主人・徳山浩明さん。再認識したのは、京都の料亭で料理人として腕を振るっていた2000年代初頭。きっかけは、日本発酵機構余呉研究所所長を務めていた発酵研究の第一人者、小泉武夫さんとの出会いだった。「発酵の時代は必ず来る」。小泉さんはそう口にしていた。
「お出汁も、醤油も、味噌も和食はすべて発酵に結び付きます。当時の私は、料理をつくること、食材を見極めることその他いろいろと勉強してきたけど、発酵の奥深さをまるで知りませんでした」

小泉さんの研究所が余呉にあったのも、運命だった。
「滋賀には『熟鮓(なれずし)』という素晴らしい発酵食があるのに、当時それを出す店はありませんでした。小泉先生との交流の中で、じゃあ熟鮓をメインにした料理屋をやってみよう、と。先生との出会いなくして徳山鮓はあり得ません」。
熟鮓とは、魚を塩と米飯で乳酸発酵させた保存食。その代表例が鮒鮓だ。漁獲から完成まで最短8カ月、樽によっては1年以上かかるものもある。琵琶湖を有する滋賀県では、古くから鮒鮓を食す文化があった。浩明さんは発酵学の知見をもとに鮒鮓を磨き上げ、スペシャリテとして供している。

鯖の熟鮓(なれずし)

美食宿のひみつは発酵だけにとどまらない。美食家たちの目当ては、浩明さんが自ら探し集める、極上の食材の数々にもある。
「店を出すにあたって、“同じ地の水の中でできたものからメニューを考える”と決めました。店から一定の圏内で、その時々に採れる食材を探す。季節に応じて何ができるかを考えながら料理を構成する。どうしてもないときは出さない。それに代わるものをつくる。型はなく、いわば徳山流の料理です」。

その全貌を体感したとき、誰もが徳山鮓の虜となるのだ――。

主人自ら食材集めに奔走する

余呉の漁師の家に生まれた、徳永浩明さん。京都の料亭で料理を学ぶ中、発酵の世界と出合いが転機となり、2004年、故郷で宿泊施設付き料理店「徳山鮓」を妻・純子さんと開業。自ら湖に船を出し、山に入り集めた食材を供する。

美味しさのヒミツは、発酵にかかせない「飯」

魚を塩と米飯で乳酸発酵させた食品である、熟鮓。その工程で余った「飯(いい)」を、徳山鮓ではさまざまな料理にアレンジして用いている。発酵の恵みが美食の数々を生むのだ。

オリジナルも有ります!お供は地酒「七本槍」

料理とのペアリングには「七本鎗」の日本酒、3種を用意。写真の「紫霞の湖(しがのうみ)」は、発酵研究の第一人者・小泉武夫さんが開発した酵母を使った、オリジナル銘柄。

徳山鮓
住所|滋賀県長浜市余呉町川並1408
Tel|0749-86-4045
営業時間|8:00~17:00
定休日|水・木曜
料金|昼食/1万800円~、夕食1万6200円~ 宿泊/1泊2食付2万4840円~(食事利用の場合も予約制)
カード|AMEX、DINERS、DC、JCB、UC、VISAほか
チェックイン|16:00
チェックアウト|10:00
アクセス|電車/JR北陸本線「余呉駅」よりタクシーで約5分 車/北陸自動車道木之本ICから約15分
インターネット|Wi-Fi有
http://www.zb.ztv.ne.jp/tokuyamazushi


text:Discover Japan photo :Sadaho Naito ※この記事は2018年6月6日に発売したDiscover Japan7月号の記事を一部抜粋して掲載しています。


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