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「最後の浮世絵師 月岡芳年展」が金沢21世紀美術館にて開催

2021.4.21
「最後の浮世絵師 月岡芳年展」が金沢21世紀美術館にて開催
「風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗」明治21(1888)年

北陸中日新聞は、2021年4月24日(土)〜5月23日(日)まで、「最後の浮世絵師月岡芳年展」を金沢21世紀美術館 市民ギャラリーAにて開催。

この展示会では、明治浮世絵の第一人者、鬼才・月岡芳年にスポットを当て、浮世絵作品約150点を展示。浮世絵の人気は、かつてのような春信、歌麿、写楽といった絵師から、北斎、広重以後の幕末浮世絵に移りつつある。特に歌川国芳とその弟子として活躍した芳年は、柔軟な発想と、たくましい絵心で幕末明治の浮世絵界を活性化させた浮世絵師として近年すこぶる人気が高まっている。人々に情報と楽しみを提供するために、浮世絵というメディアが最後まで新しい画題と表現に挑み続けた様子を楽しむとともに、明治維新という激動の時代を駆け抜けながら、革新的な芸術を探求し続け、浮世絵の歴史の最後に強烈な閃光を放った芳年の姿を紹介。

あなたは浮世絵の最後を見たか。


「芳流閣両雄動」明治18(1885)年

月岡芳年(1839-1892)は、奇想の画家歌川国芳(1797-1861)に学び、師の自由な発想を継承しつつ、西洋画の写実性を取り込みながら、たくましい絵心で、浮世絵の歴史の最後に強烈な閃光を放った。師譲りの武者絵や歴史画を中心に活動を始めたが、明治維新という激動の時代の世相を写す作品も数多く残している。一方で近代日本の美人画を予兆させる美人画も描かれている。 この展示会では、芳年芸術の集大成で代表作「月百姿」シリーズはもちろんのこと、美人画の傑作シリーズ「風俗三十二相」や、近代性があらわな「新撰東錦絵」シリーズなど、革新的な作品のかずかずを紹介。近世から近代へと大きく転換していく激動の時代を駆け抜けた鬼才芳年の世界をお楽しみください。

月岡芳年とは


「月百姿 玉兎 孫悟空」明治23(1890)年

12歳のとき歌川国芳へ入門する。15歳のときに、師の得意とした分野である武者絵によりデビューする。活動が本格化するのは20歳頃から。28・29歳には「血みどろ絵」の代表作である「英名二十八衆句(えいめいにじゅうはちしゅく)」を兄弟子芳幾と手がける。

その後34歳に極度の憂鬱症神経衰弱になり入院するが、翌年「大蘇」の号で復活し、まさに蘇った活躍ぶりを見せる。

39歳からは、西南戦争に取材した錦絵や、歴史画に加え、美人画シリーズも描き始め、44歳頃からは絶頂期を迎えることとなる。西洋画学習が実を結び、鮮烈な印象を残す大判竪二枚継の作品や、リアリティ溢れる「新撰東錦絵」、近代日本画の女性表現を予見させる「風俗三十二相」、大作「月百姿」など出色の作品を次々と生み出していった。静謐さと緊張感とが高い次元で響き合うその画面への評価は、近年ますます高まってきている。

見どころ!
「血みどろ絵」だけではない、魅力溢れる芳年の世界


「郵便報知新聞 第五百六十五号」明治8(1875)年

芳年は凄惨な場面を描く「血みどろ絵」で「血まみれ芳年」の異名を持ち、その作品を愛した江戸川乱歩や三島由紀夫らの手によって、特異なかたちで脚光を浴びる。こうした極端な作品群により、芳年は長らく偏った評価を受けてきた。

しかし、芳年の魅力は「血みどろ絵」に留まらない。そのドラマ性豊かな構図や静謐な緊張感と臨場感溢れる描写力など、現代にも決して色あせない「新しさ」にもある。この展示会では豪快無比の武者絵や歴史画、艶やかな美人画へも光を当てることで、「血と狂気」のレッテルから芳年を解放し、さまざまな視点から、全六章の構成によってその全体像を展覧する。

第一章 芳年の壮 芳年の武者絵
第二章 芳年の想 芳年の歴史画
第三章 続物の妙
第四章 芳年の妖と艶 芳年の美人画
第五章 報道
第六章 月百姿 芳年芸術の集大成

芳年芸術の集大成も。
「揃物」の傑作が勢ぞろい!


「坂東薪水の明智光秀」慶応元(1865)年

揃物とは一つのテーマで複数の作品がまとめられた、いわゆるシリーズもので、展示会では精選された作品の数々を紹介。また、同図で初摺と後摺の2枚を展示する作品もあり、その比較を楽しむことができる。

「月百姿」シリーズ
大判100図からなる大作。明治18-25(1885-92)年の刊。芳年最晩年の作にして代表作である。
和漢の故事伝説、詩歌から謡曲、講談に至るまで、月にちなむ多様なエピソードが主題として取り上げられる。菊池容斎の人物画像集『前賢故実』に拠った図のほか、四條派、文人画、西洋銅版画などから影響を受けた図もあり、芳年画業の集大成にふさわしい内容である。緊張感のある構図、劇的な場面にひそむ静謐感などそれぞれのエピソードに最適な描写内容が選択されている。制約の多い多色摺木版画でも何でもできることを示してくれている。まさに浮世絵の最後を飾るにふさわしい作品群である。

「風俗三十二相」シリーズ
明治21(1888)年刊行。大判32図に目録1枚が加わる。寛政から明治までの、さまざまな階層の女性を、「寒そう」「眠そう」などの設定で描き分けた美人画揃物である。美人の顔は、細面(ほそおもて)で切れ長の目という浮世絵美人を基本としつつ、表情豊かで妖艶な芳年美人に描かれる。

一部の作品には、近代美人画の雰囲気も感じられ、8年前の美人画揃物「東京自慢十二ヶ月」と比較すると、近代日本画の美人画の行方が見えてくるかもしれない。時代や女性のタイプの別が分からなくとも、シチュエーションごとの女性の表情の描き分けの妙は十分に楽しむことができる。

「新撰東錦絵」シリーズ
明治18-22(1885-89)年刊行。全22図。講談や歌舞伎に取り上げられたお馴染みの稗史や巷説を題材とするいわゆる世話物を取り上げている。自然な遠近感をもつ環境描写を背景に、見る者の目は主役たちに見事にフォーカスさせられる。ここには西洋画の写実性の学習を咀嚼しきった、浮世絵を越えた新たな世界が展開されている。

人物の感情表現には特に注目したい。他の歴史画のような誇張は控えめに、冷たい怒りや、静かな恐怖といったものが、冷静に描写されている。男女、老若の描き分けも効果を上げている。芳年がリアリティに富む見事なイリュージョンを出現させた全盛期の意欲作。

その他、和漢の故事・物語を描く「一魁随筆」や、全盛期の作品で文字通りの武者を描く「芳年武者旡類(よしとしむしゃぶるい)」、妖怪や幽霊のみを集めた最晩年の「新形三十六怪撰」、巷に起きた情痴事件や珍談奇談などを紹介した「錦絵新聞」なども展示。


「風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗」明治21(1888)年

最後の浮世絵師 月岡芳年展
開催期間|2021年4月24日(土)〜5月23日(日)会期中無休
会場|金沢21世紀美術館 市民ギャラリーA (金沢市広坂1-2-1
営業時間|10:00〜18:00
※入場は閉場30分前まで
※最終日は15:00閉場
料金|一般 1000円(800)、高校・大学生 700円(500)、小中学生 500円(300円)※( )内は前売り・団体料金
https://www.hokuchu-event.com/pickup/tsukiokayoshitoshi/


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