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生誕100年 石元泰博写真展 伝統と近代

2020.11.15
生誕100年 石元泰博写真展 伝統と近代
《東京都新都庁舎計画(磯崎新)》ゼラチン・シルバー・プリント 1991年頃
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵

写真家・石元泰博の生誕100年を祝し、10月10日(土)〜12月20日(日)まで「生誕100 年 石元泰博写真展伝統と近代」を開催。

アメリカに生まれ、シカゴのインスティテュート・オブ・デザイン(通称ニュー・バウハウス)に学んだ写真家石元泰博(1921-2012)は、対象の構造的、空間的特性を鋭く捉えた作品によって、写真界はもとより、広く建築、デザイン、美術にわたる戦後日本の芸術界に大きなインパクトを与えた。バウハウスの流れを汲む近代的な視点から日本の伝統建築を撮影した桂離宮シリーズ、丹下健三、磯崎新、内藤廣ら同時代の建築家の作品を撮った作品、そしてライフワークとなったシカゴと東京の人と街を捉えた作品など、その成果は内外で高く評価されている。対象の本質と写真の可能性へのあくなき探究心、そして緻密な暗室作業による厳格なプリントの美学は、デジタルが一般化した今日において一層の輝きを放っている。

2021年は石元泰博の生誕100年にあたる。この記念すべき年に向け、石元の足跡を過去最大規模で回顧する展覧会シリーズを東京オペラシティアートギャラリーと東京都写真美術館、高知県立美術館との共同で開催する。本展は「伝統と近代」を切り口として、作家活動の前半に軸足を置き、多様な被写体を貫く石元の眼差しに注目。なお東京都写真美術館では、「生命体としての都市」をテーマに独自の都市観にフォーカスし、中盤から晩年に至る作品を選りすぐり、2 つの展覧会を通して、より多角的な視点から石元の活動の全貌が明らかとなるだろう。高知県立美術館では来年1-3 月に集大成となる展示を行う。

展覧会の内容

1|初期作品

《シンフォニー・イン・ケーブ》ゼラチン・シルバー・プリント 1944-48年
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵

シカゴの写真クラブでのサロン写真から、インスティテュート・オブ・デザイン(通称ニュー・バウハウス)在学中の実験的な作品を中心に紹介。

2|シカゴ

《シカゴ ハロウィン》ゼラチン・シルバー・プリント 1948-52年
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵

シカゴの人と街は石元が生涯にわたり撮り続けた被写体。子どもたちの躍動する姿や都市の変貌など、初期の作品を中心に紹介。

3|東京と近代化の諸相

《東京 街》ゼラチン・シルバー・プリント 1953-57年
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵
《東京 こども》ゼラチン・シルバー・プリント 1953-57年
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵

1953年の来日以降、石元は東京を被写体に、ときに鋭い文明批評をこめて人と街への眼差しを深め続けた。産業化や公害、自然破壊など、近代化の諸相を捉えた作品とあわせて石元の東京写真を紹介。

4|桂離宮

《桂離宮 中門の乗越石》ゼラチン・シルバー・プリント1953,54年
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵

石元の名を世に知らしめた代表作。1953、54年撮影の初期シリーズを紹介。対象の質感や空間的特性を鋭く捉えるモダンな手法は今も色あせない。

5|近代建築

《牧野富太郎記念館(内藤廣)》ゼラチン・シルバー・プリント 1999年
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵
《シカゴ建築 860-880 レイク・ショア・ドライブ・アパートメント(ミース・ファン・デル・ローエ)》ゼラチン・シルバー・プリント 1966年
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵

ミース・ファン・デル・ローエ、ルイス・サリヴァンなど、石元の「建築写真」の仕事を総括的に紹介。

6|ポートレート

《ポートレート(土方巽)》ゼラチン・シルバー・プリント 1968-69年
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵

一時期手掛けたポートレイトより、土方巽、唐十郎、三島由紀夫、石原慎太郎らを撮影した作品を紹介。時代を画した大物たちの息づかいや時代の空気に注目。

7|周縁から

《御陣乗太鼓(輪島)》ゼラチン・シルバー・プリント 1962-64年
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵

石元は、日本の周縁から近代化を捉えまた歴史や伝統を溯行する仕事に取り組み続けた。北海道や東北・北陸の暮らしや大分・国東半島の宗教文化などを取材した作品を紹介。

8|両界曼荼羅
京都・東寺(教王護国寺)の国宝、伝真言院曼荼羅を接写したシリーズ。1977 年の発表時には曼荼羅ブームが起きました。国立国際美術館所蔵の大型プリント110余点を一挙公開。

9|イスラム 空間と文様
海外に取材した作品から、イスラム寺院の空間と文様をとらえたカラーの仕事を紹介。

10|食物誌/包まれた食物
あらゆる食材がラップされてスーパーに並び、我々の食卓に届けられるようになった1980年代。それらを即物的に捉えた本シリーズからは石元の消費社会批判が読み取れる。

11|かたち

《韮山・江川邸の土間》ゼラチン・シルバー・プリント1956年頃
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵

自然が生み出す造形や人工物などを捉えた作品を紹介。バウハウスの流れを汲んだ構成感覚豊かな石元の特徴がよく現れた作品群。

12|伊勢神宮

《伊勢神宮(内宮御手洗場の清流)》ゼラチン・シルバー・プリント1989, 93年
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵

石元の歴史や伝統へのまなざしは、東洋的な永遠の時間性へと向かい、1993年の式年遷宮にあわせた伊勢神宮の撮影に結実した。

石元泰博 略年譜

《セルフ・ポートレート》ゼラチン・シルバー・プリント 1975 年
©高知県,石元泰博フォトセンター / 高知県立美術館蔵

1921 高知からの農業移民の長男としてサンフランシスコで誕生
1924 両親と高知に移住
1939 高知の農業高校を出て単身渡米、カリフォルニアに住む
1942 前年12月8日の真珠湾攻撃をうけ、日系人収容所に収監される
1944 収容所から解放されシカゴに行く
1947 シカゴの写真クラブに入会。モホイ=ナジらの著作に触れ、モダニズム/アヴァンギャルドの写真に開眼
1948 シカゴのインスティテュート・オブ・デザイン(通称ニュー・バウハウス)入学(1952年卒)
1953 来日し、1958年まで滞在。桂離宮を初訪問し、敷石を撮影。丹下健三はじめ建築、デザイン、美術界の要人らと出会う
1954 京都・俵屋旅館に1 ヶ月滞在し桂離宮を撮影
1958 初の写真集『ある日ある所』発刊。シカゴに戻り3年間滞在
1960 『KATSURA̶日本建築における伝統と創造』発刊
1961 再来日
1969 日本国籍取得。『シカゴ、シカゴ』発刊
1973 東寺の両界曼荼羅を撮影
1977 『伝真言院両界曼荼羅:教王護国寺蔵』発刊
1978 『国東紀行』発刊
1983 カラーで再撮影した桂離宮をまとめ『桂離宮 空間と形』発刊
1984 20X24インチポラロイドカメラで「包まれた食べ物」シリーズ制作
1995 『伊勢神宮』発刊
2007 『シブヤ、シブヤ』発刊
2010 桂離宮の新旧の撮影を全編モノクロでまとめた『桂離宮』発刊
2012
2013 高知県立美術館に「石元泰博フォトセンター」が開設される

 

生誕100 年 石元泰博写真展 伝統と近代
Ishimoto Yasuhiro Centennial: Tradition and Modernity
会期|2020年10月10日(土)〜12月20日(日)
会場|東京オペラシティ アートギャラリー
開館時間|11:00〜19:00(入場は18:30まで)
休館日|月曜日(祝日の場合は翌平日)
入場料|一般1200円/大・高生800円/中学生以下無料
お問い合わせ|050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.operacity.jp/ag/exh234/


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