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CAMPFIRE代表取締役
家入一真さんが語る
クラウドファンディングの可能性

2019.6.29
CAMPFIRE代表取締役<br>家入一真さんが語る<br>クラウドファンディングの可能性

何かをはじめようとしたとき、ネックになるのが、お金でしょう。これまでは手持ちで用意するか、銀行などから借りるかといった選択肢しかなく、高いハードルとなっていました。このハードルをぐっと下げたのが「クラウドファンディング」です。
あらためて、その仕組みを日本を代表するクラウドファンディング・プラットフォーム「CAMPFIRE」の創業者である家入一真さんに聞きました。

家入一真(いえいり・かずま
1978年、福岡県生まれ。「paperboy&co.(現GMOペパボ)」を創業し、JASDAQ市場へ上場。退任後、クラウドファンディングを運営する「CAMPFIRE」創業、代表取締役社長に就任。他にも「BASE」、「partyfactory」、「XIMERA」の創業、駆け込み寺シェアハウス「リバ邸」の全国展開など

クラウドファンディングが資金調達の民主化を叶える

Q クラウドファンディングとは何か?

個人でも団体でも、「やりたい」ことがある人がそれをインターネット上で表明。そのプロジェクトに共感した不特定多数の人から支援を募る“資金調達の新しいかたち”が、「クラウドファンディング」です。

支援の報酬としてプロジェクトが成功した際にそのサービスや製品を受け取れる「購入型」。報酬がなく、災害地支援などに使われる「寄付型」。そして出資金額に応じて利回りなどがつく「投資型」と、3つに大別できます。

ただ……僕は“資金調達”って、クラウドファンディングの機能のひとつでしかないとも思っているんですよね。

Q 単なる「資金調達」だけではない意義とは?

これまでは出会いにくかった「思いを同じくした仲間ができること」。実はそこにこそ、価値がある気がします。

たとえば、新潟あたりの若者が「こんな事業をしてみたい!」と声を上げたとしますよね? インターネットがない時代は、よほど行動に移されなければ、周囲の友人や家族くらいの耳にしかそうした声は届かなかった。

だから「無理じゃない?」、「お金は?」という声にかき消されがちになっていたと思う。その若者の心に灯った“挑戦”という小さな火は、消える確率のほうが高かったはずです。

しかし、インターネットは、あらゆるものを民主化しました。

「CAMPFIRE」のような、ネット上のクラウドファンディングのフォームに「これがしたい」と書き込めば距離を越え、兵庫の中小企業の社長や鹿児島のOLの目にも留まるようになりました。「おもしろそう」、「応援したい」と“共感”してもらえる可能性が、うんと高まったと思うんです。

そこで「お金って何だろ?」とあらためて考えてみると、僕はコミュニケーションツールだととらえています。

誰かの「これがしたい」という目的に関して、「いいね!」、「応援するよ」と声掛けするように、支援金を出すことは、共感の思いに、さらに重みが増しますよね。応援する側も、される側もその目的に、よりコミットするようになる。すると、応援される側は当然、実現に向けてより努力するでしょう。

応援する側も、単にお金を払って終わりではなく、そのプロジェクトの宣伝を勝手にしてくれたり、まさに仲間のように頭脳や手を使ってくれるようになる。言い方を変えると“共感”が“共犯”になるわけですよ。

こうしてお金の支援だけじゃなく、思いを同じくした人と人をつなぐのが「クラウンドファンディング」。

その結果として、いろんな人の小さな火を灯し続けることができる。

そして社会的な強者だけじゃなくって、誰しもが「何かやりたい!」と、声を上げられるようになる。僕は、そのほうがきっとカラフルで楽しい世の中になると考えているんです。

Q クラウドファンディング向きのプロジェクトは?

「お店を開きたい」でも、「映画をつくりたい」でも、どんなことにでも使ってほしいです。

日本のクラウドファンディングは、東日本大震災の復興支援を契機に普及した側面があります。先に挙げた寄付型クラウドファンディングですね。

それはもちろん素晴らしいことですが、弊害もあった。「クラウドファンディングは社会貢献に使うものだ」といった空気が残っていることです。

だから芸能人や大企業がクラウドファンディングをはじめると「お金があるくせに」と避難されたりする。「CAMPFIRE」でも、かつて「スマホの修理代を集めたい」というプロジェクトが、ネットで大炎上しました。「まるで物乞いじゃないか!」と。

けれど、僕は何か新しい挑戦をしたいということを後押ししたい。挑戦のための仲間づくりや、資金づくりのプラットフォームがクラウドファンディングであって、挑戦の中身は人それぞれでしかるべきだと考えています。

だから「CAMPFIRE」はプロジェクトの申請があったとき、法的に問題がないか、公序良俗に反しないかといった審査はしますが、プロジェクトのジャンルそのものに口出しをすることは、ほぼありません。もちろんひとつでも多くのプロジェクトがサクセスするために掲載スタイルやコピーづくりなどのアドバイスはしますが、挑戦のジャンルは、何でもウェルカムです。

もっと言うなら、多種多様な、カラフルなプロジェクトが立ち上がっていることにこそ、価値を感じています。

「CAMPFIRE」をのぞいて「いろんな挑戦のロールモデルがあるんだ」と思ってもらうことになりますから。

それはほかの誰かの挑戦を、後押しすることになるでしょうからね。誰かが「こんなことできたらいいよな」と思ったとき、真っ先にクラウドファンディングが浮かぶことが理想です。

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『なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。』
発行|ディスカヴァー・トゥエンティワン
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「お金を介したコミュニケーションはまだまだ硬直的だ。もっとなめらかにしないと——」。クラウドファンディングを中心に個人が自由にやりたいことをやれる社会の仕組みづくりを探った一冊。キーワードは「行き過ぎた資本主義」、「小さな経済圏」、「民主化」です。

text=Koki Hakoda photo=Kazuya Hayashi
2019年3月号 特集『暮しが仕事。仕事が暮し。』


≫「暮しが仕事。仕事が暮し。」の言葉をエピローグにかえて河井寬次郎の言葉と生き方

≫佐賀嬉野の新しい働き方 サテライトオフィス×温泉旅館

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