東京都美術館で、
浮世絵の奥深き世界に触れる
The UKIYO-E 2020 ― 日本三大浮世絵コレクション

江戸庶民に広く親しまれ、欧米にもジャポニスム旋風を巻き起こした浮世絵。菱川師宣から葛飾北斎、東洲斎写楽まで、総勢約60 名の絵師たちの代表作品約450点が前・後期にわたり展示される「The UKIYO-E 2020 ― 日本三大浮世絵コレクション」が9月22日(火・祝)まで東京都美術館で開催中です。
太田記念美術館(東京・原宿)、日本浮世絵博物館(長野・松本)、平木浮世絵財団が誇る日本三大浮世絵コレクションが一堂に会するのは史上初のこと。この貴重な展覧会の見どころを注目の作品とともにご紹介します。


今回の展覧会は、延宝期に始まる初期浮世絵から風景画が主流となった天保〜安政期の作品までを5つの章に分類して紹介する構成となっています。
初期には浮世絵の祖である菱川師宣を筆頭に、懐月堂派、奥村政信などが活躍。その後、天明期、寛政期に入ると美人画や役者絵が数多く描かれ、長身の美人画様式を生んだ鳥居清長、半身像を描く大首絵の様式を用いる喜多川歌麿、迫力ある役者絵で国際的にも高い評価を得ている東洲斎写楽といった絵師たちが人気を博しました。「役者舞台之姿絵」の連作で知られる歌川豊国が、歌川派の役者絵の基礎を築いたのもこの頃です。


文化・文政期に入ると表現の多様化が進み、細かな描写やデザイン的な工夫が施され、洋風の風景描写の手法を取り入れた作品も数多く見られるようになります。天保初期にはあまりにも有名な葛飾北斎の「冨嶽三十六景」シリーズや歌川広重の代表作「東海道五拾三次之内」が出版され、浮世絵文化がいっそうの盛り上がりを見せました。「人をばかにした人だ」などの奇抜でユーモアに満ちた戯画で独自の路線を開拓した歌川国芳が活躍したのもこの時期です。
The UKIYO-E 2020 ― 日本三大浮世絵コレクション
会期|前期 〜8月23日(日)、後期 8月25日(火)〜9月22日(火・祝)
※本展は日時指定入場制です。詳細は展覧会公式サイトをご覧ください。
会場|東京都美術館
住所|東京都台東区上野公園8-36
開室時間|9:30〜17:30
休室日|8月24日、9月7日・14日
料金|一般1600円、大学生・専門学校生1300円、高校生800円、65歳以上1000円
Tel|03-5777-8600(ハローダイヤル)
https://ukiyoe2020.exhn.jp
100点以上にもおよぶ重要文化財・重要美術品が展示され、日本三大浮世絵コレクション秘蔵の作品が惜しみなく出品される今回の展覧会。日本が世界に誇る浮世絵の名作たちは絶対に見逃せません。
text=Discover Japan
2020年9号 特集「この夏、毎日お取り寄せ。」