ARTS & CRAFTS

日本美術に苦手意識のある人にこそおすすめしたい
「日本の美」展

2019.10.11
日本美術に苦手意識のある人にこそおすすめしたい</br><b>「日本の美」展</b>
『扇面散蒔絵箪笥』 作者不詳 江戸時代 サントリー美術館蔵

漆芸や襖絵など、日本では身の回りのものに贅を凝らし、暮らしの中の「美」を重んじてきた。そんな日本美術をデザインの視点でとらえ直す企画展が、富山県美術館で開催中だ。

『白梅図』 中村芳中 千葉市美術館蔵

琳派の装飾性は、光琳模様といったいわば「フリー素材化」していく図案集の走りであり、浮世絵における独特の空間やかたちのとらえ方はレイアウトやデフォルメといった言葉に言い換えられる。

『武蔵野図屏風』 作者不詳 江戸時代 サントリー美術館蔵

本展ではこのようなデザインの視点を用いることで、作品の技法や歴史的背景から入ることにハードルを感じる人も、おもしろく鑑賞することができる。作品につくキャプションにすべての答えを求めてはもったいない。実際に作品を前にして、自らの目で作品のおかしみを見出す醍醐味をぜひ味わってみて。

展示作品から、見どころの一部を紹介!

若冲のデザインセンスは圧倒的!

『若冲画帖』 伊藤若冲 芸艸堂

「動植綵」のような細密画でよく知られる若冲だが、本作もまた若冲の類まれなる画面構成力を感じさせる。モノクロのコントラストを生かし、植物や生き物などのモチーフを大胆に配置するそのセンスは脱帽だ。

アヤメが大胆に画面をぶった切る

『名所江戸百景 堀切の花菖蒲』 歌川広重 平木浮世絵財団

画面手前に大きく菖蒲を描くことで、花の間の見物人がとても遠いところいるように感じられる。このような極端な遠近効果は広重が得意とした構図で、遠景の水平線を低く抑えることで画面に広がりを持たせている。※展示替えのため一部展示されていない作品もあり

西洋の装飾文化も取り込んだ図案家・雪佳

『滑稽図案』 神坂雪佳 芸艸堂

日本の伝統模様に加え、アール・ヌーヴォーなどヨーロッパの装飾に影響された図案も手掛けた図案家・神坂雪佳。「マカロニ美術」や「ヌー坊様式」などユーモアを感じさせる図案集も残した。

現代版「群鶴図」はダチョウ!?

『晴』 福井江太郎 2014 年 作家蔵

ダチョウをモチーフにした福井氏による水墨画は、琳派でよく描かれたモチーフ「群鶴図」を彷彿とさせる。点と線と面による画面構成が心地よいリズムを生んでいる。

琳派の作品や浮世絵を中心に、近代のポスター美術から現代作家の作品も展示される。アートとデザインをつなぐ美術館として、ユニークな企画展示を行う富山県美術館へぜひ一度足を運んでみてはいかがだろう。

「日本の美 美術×デザイン」-琳派、浮世絵版画から現代へ-
会期:~ 2019年10月20日(日)
会場:富山県美術館
住所:富山県富山市木場町3-20
時間:9:30~18:00(入場~ 17:30)
休館日:水曜、祝日の翌日(10月16日は開館)
料金:一般1300円、大学生650円、高校生以下無料
Tel:076-431-2711
https://tad-toyama.jp

2019年10月号 特集「京都 令和の古都を上ル下ル」