ARTS & CRAFTS

筑後川流域は、日本屈指の民藝の里でした。

2018.3.29
筑後川流域は、日本屈指の民藝の里でした。

焼物の素材となる陶土、窯に使う薪が採れる山々、陶土を砕く動力に使う水。筑後川流域に点在する多くの窯元では、水と自然という恵まれた資源を活用しながら、いまに息づく焼物文化をつくってきた。そんな先人たちの知恵と工夫に思いを馳せながら、民藝の里で魅力あるうつわと出合う。

水と自然の恵みを感じ、筑後川流域の宝をめぐる

筑後川流域の人たちは、いつも水と自然のそばで暮らしてきた。たとえば、昔と変わらぬ手作業で、庶民のためのうつわを焼き続ける日田市の小鹿田焼は、水の流れと自然の営みの中で発展してきた。小鹿田焼集落の周辺の山からは、原料となる陶土が採れ、林業が盛んな日田には製材所がたくさんあり、そこの木材を窯に使うことができたのである。
今回はそのうつわを焼き続ける窯元を3つ紹介する。

1.小鹿田焼

大分県日田市・小野川の上流の山間にある10軒の窯元でつくられる小鹿田焼。約300年前に小石原焼の陶工がこの地に招かれ技術を伝えたのがそのはじまりという。現在まで変わらないうつわづくりの技は、世襲制の一子相伝によるもの。土づくりから窯出しに至るまで、その工程の多くが現在も手作業で行われている。

6寸すり鉢 4000円~約φ18×H8.5㎝

坂本工窯(さかもとたくみがま)
住所:大分県日田市源栄町皿山176 Tel:0973-29-2404

2.髙取焼

筑前黒田藩の御用窯として栄えた髙取焼。小石原における髙取焼は、2代髙取八蔵が福岡県直のお方がた市からこの地に移り住んだことがそのはじまりといわれる。きめ細かな生地を使用した陶器のうつわは、磁器のような薄さと軽さが特徴。現在も一子相伝により伝えられた技法から、気品あふれる茶陶類などがつくられている。

徳利『十三代八山作』1万5000円/口径約4×H14.5㎝
ぐいのみ『十三代八山作』5000円/ 約φ3.5×H4.5㎝

髙取焼宗家
住所:福岡県朝倉郡東峰村小石原鼓2511 Tel:0946-74-2045

小石原焼

福岡県朝倉郡東峰村にある50軒ほどの窯で焼かれる陶器。約350年前、髙取焼の髙取八蔵の孫がこの地に移り住んで窯を開いた。独特の紋様と、素朴で温かい風合が特徴で、飛び鉋や刷毛目(はけめ)、櫛描き、流し掛け、打ち掛けなどは兄弟窯である小鹿田焼とも共通する技法だ。後継者の多くは、これらの伝統技法を基に新たな作風にも挑戦する。

四方がけ7寸皿白釉 2400円/約φ21.5㎝
リム皿大はけ目マット 3000円/約φ24.5㎝

翁明窯(おうめいがま)
住所:福岡県朝倉郡東峰村小石原1126-1 Tel:0946-74-2186

豊かな水と自然がもたらす酒、食、うつわの魅力を求めて筑後川流域をめぐる旅へ

筑後川流域には日本酒や焼酎の酒造所が多い酒処でもある。そして、この流域には酒の製造に欠かせない優良な伏流水が豊富にあった。さらに、流域の肥沃な大地は良質な米を育んできたことも、その後の繁栄につながっているだろう。
同様に、筑後川流域で採れる多種多様な農産物や川魚の存在は、この流域の食文化の発展に、大いに寄与してきたといえる。水や自然という流域の貴重な資源を生かし、豊かに発展してきた酒、食、うつわ。そしてたくましく生きる人たち。
水と自然とともに生きる、筑後川流域を訪ねる旅へ出掛けよう!

(text : Takeshi Kujima photo : Hiromasa Ohtsuka, Akito Ochiai)

※この記事は2018年3月に発売したDiscover Japan Vol.78 4月号から一部抜粋して掲載しています

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