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クルーズトレインで出会う新しいニッポン

2017.11.8
クルーズトレインで出会う新しいニッポン

いま、日本の旅が変わろうとしている。その一端を担うのがクルーズトレインだ。今回はそのうち、今年6月に運航を開始した「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」、今年7月に運航を開始した「THE ROYAL EXPRESS 」をメインに、クルーズトレインでの新しい旅を提案する。

クルーズトレインの旅でニッポンをいいとこどり!

山陰・山陽地域をひた走る「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」、そして横浜から伊豆半島をつなぐ「THE ROYAL EXPRESS」。クルーズトレインでめぐる場所は、日本を代表する美観や郷土文化の宝庫だ。

それぞれ本州の東と西に分かれ織りなす旅は、日本人なら一度は訪ねてみたいロケーションを集め、豪華絢爛な車両と料理が堪能できる一級のパッケージに仕上がっている。その多くが、1泊2日~3泊4日の旅のプランに立ち寄り観光が用意され、行く先々の滋味や伝統に触れることができるようになっている。それは車窓からの観覧にとどまらない、まさに「生きた旅」なのである。

片道観光や1人旅も可能なニューフェイス
TWILIGHT EXPRESS瑞風とは

列車名は「吉兆を表すめでたい風」という意味と「瑞穂の国」という日本の美称を掛け合わせたもの。かつて列車旅への憧れを一身にまとい、寝台特急の代名詞ともなった寝台特急「トワイライトエクスプレス」の伝統を受け継ぎ、2代目として山陽本線・山陰本線をめぐる。クルーズトレイン唯一の片道ルートもある。

アール・デコ調のインテリアからグリーンの車体、食堂車の「ダイナープレヤデス」と丸目のヘッドライト、そして印象的な5本のラインからなる顔。これらはすべて先の車両のDNAを受け継ぐ特徴だ。また、国内唯一の片道コースは、列車本来の目的である移動手段としての役割をクルーズトレインで再定義したものといえる。

1.車両デザインは?

「ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル」などの建築にも携わる建築家・浦 一也さんと、インダストリアルデザイナー・福田哲夫さんが手がけた車両は、上質でどこか懐かしい車内にはオリジナルカクテルが楽しめるバーも設置。深い色合いの木材を多用し、落ち着いた雰囲気のカウンターには優美なトーネットのチェアが備え付けられ、大人の空間を演出。乗り合わせた者同士の会話が弾むような雰囲気づくりがされている。

2.客室の内容は?

「ザ・スイート」は1両1室という贅沢さ。1階に通路を配し、完全なプライベート空間を実現した。また、食事もできる大型テーブルや開閉可能な窓が配置されたプライベートバルコニーなど、乗客の自由度を尊重した設計。壁から天井に向かって配置された大窓には、眺望絶佳の日本海が映し出される。

一流ホテルを思わせる究極の移動空間
THE ROYAL EXPRESSとは

青い海と白い砂浜と新鮮な海の幸、山の幸を求めて家族連れはもちろん若者たちが毎年多く訪れるリゾート地・伊豆半島。しかし、年々周辺の群発地震の影響により年間6000万人を超えていた観光客数が4000万人台にまで減少。
そんなときに、しばらく伊豆から遠のいていた人々を惹きつける、とっておきの乗り物、THE ROYAL EXPRESSが登場した。
横浜~下田間を気高きロイヤルブルーの車体が優雅に走り、観光地としての伊豆を活性化。「伊豆と共に生きる」という強い思いが込められた、この半島の未来をかけた特別な列車なのだ。

1.車両デザインは?

設計・デザインは鉄道ファン憧れの水戸岡鋭治氏。豪華寝台列車「クルーズトレイン ななつ星in九州」をはじめ数々の観光列車を手掛けてきた日本有数の工業デザイナーである。
日が当たると明るい青色、逆光で見ると深い藍色に見える。車窓に釘を一切使わずに組み上げる美しい組子細工が施されている車両もある。

2.客室の内容は?

1~8号車の車両はゴールドクラスとプラチナクラスに分かれており、1~2号車のゴールドクラスには運転台側の展望客室、ファミリーシートがあり、木のプール、絵本図書館を設置。家族や友人と気軽な旅を楽しめるようになっている。
また、3号車には電気鋳造技術のパネルを天井に配し、展覧会・結婚式・会議などに使える号車も完備。
一番注目したいのは5~8号車のプラチナクラスで、音楽を聴きながら食事と車窓からの景色を堪能できる車両から、天井にステンドグラスを配した車両、書斎のような空間が広がるライブラリースペースまでと贅沢な空間が広がっている。

それぞれの車内でしか味わえない、究極のおもてなしを兼ね備えたクルーズトレイン。今年は特に、2013年の運行開始以来鉄道業界の注目を浴びてきた「クルーズトレイン ななつ星in九州」に加え、関東から北海道までの走破する「TRAIN SUITE 四季島」が誕生するなど、列車の旅はどんどん進化している。もはや移動手段の枠を越え、乗ることそのものが目的となる新たな旅の方法論となるはずだ。

 

TWILIGHT EXPRESS 瑞風DATA
コース内容:1泊2日(山陽・山陰本線それぞれの上りと下りの4コース(いずれも片道))と、山陽・山陰を周遊する2泊3日コースの5コース
料金:ザ・スイート56万円~、ロイヤルツイン27万円~、ロイヤルシングル25万円~(1名様あたり/1泊2日コース)
問:TWILIGHT EXPRESS瑞風 ツアーデスク(株式会社日本旅行)
Tel:0570-00-3250
http://twilightexpress-mizukaze.jp

※上記料金は、時期や人数、状況により変更になる可能性があります。尚、表記の料金は一例です。

 

THE ROYAL EXPRESS DATA
コース内容:列車への片道乗車と車内での食事がセットになった食事付きプランと、列車への乗車(車内での食事付き)と伊豆の旅館やホテル、観光がセットになった1泊2日のクルーズプランの2プラン
料金:食事付プラン2万5000円~(昼食1回)、クルーズプラン13万5000円~(朝食1回・昼食2回・夕食1回)
問:THE ROYAL EXPRESSツアーデスク
Tel:03-6455-0644
www.the-royalexpress.jp

※この記事はDiscover Japan Vol.73 P28~47の内容から抜粋して掲載しています。
(text : Sayaka Sena, Kiyoshi Yoshinaga photo : Atsushi Yamahira, Kazuya Hayashi 写真協力:JR西日本、東急電鉄)

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