TRADITIONS

音楽のチカラで街づくり? (第一回) 渋谷が“ひとつ”になる音楽祭

2016.10.18
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“地方創生”というキーワードが取りざたされて久しい昨今。さまざまな企業と地域の連携が進んでいる。しかし、現在の盛り上がりよりずっと以前から、自社のもつ“音楽”というソフトコンテンツに注目し、音楽の力で街づくりを手掛けてきた企業がある。ヤマハミュージックジャパン 音楽の街づくり事業部“おとまち”。持続可能な地域のつながりを音楽のチカラで醸成する、今注目の地域活性化施策を3回連載でご紹介。

渋谷が“ひとつ”になる音楽祭・渋谷ズンチャカ! 

吹奏楽部の頃に使ったトロンボーンや部屋でしか弾かないアコギ。それらを渋谷に持ち出して、青空の下演奏しながら練り歩く……。〝1日だけの音楽解放区〞と銘打ち、渋谷の街に音楽があふれ出すユニークな音楽祭が「渋谷ズンチャカ!」だ。実はこれ、音楽の力で地域の課題を解決する、おとまち事業を代表する事例である。
スタートは2013年。渋谷区からの「渋谷でジャズフェスを開催し、賑わいをつくりたい」という依頼が発端だ。もっとも、渋谷は古くから外部流入者が多く賑わいの絶えない街。再開発による街の変化を「自分ごと」として考える市民を増やすことを目指した。
そこで「おとまち」は、ジャンルや演奏経験、世代などを超えて様々な人が参加出来る新しい音楽祭を提案。街にあふれる音楽を媒介に、来る人も住む人も一体となって盛り上がり、渋谷への愛着を育み、つながるきっかけをつくろうと考えた。
9月4日に開催された今年の「渋谷ズンチャカ!」では、例年メインステージとなっているみやしたこうえんに加え、渋谷センター街、さらにはハチ公前広場まで全16ステージに展開。渋谷のまちに音楽があふれ、まさに老若男女、渋谷に集まる人々がひとつになる音楽祭となった。

「渋谷ズンチャカ!」の成功の裏側は? 「おとまち」活躍の秘訣

各地で地域の課題を解決している「おとまち」。では、その成功のポイントはどこにあるのだろうか。「渋谷ズンチャカ!」成功の3つのポイントから、その秘訣を探ってみよう。
成功ポイント1 共通の目標に向けたディレクション
「世代も国籍も超えて、多様性のある渋谷の街を、誰もが自由に音楽を楽しめる場にすること」──。単なる一過性のイベントではなく、未来の渋谷の姿を目標として共有し、スタッフ一同が自律的に街に根付く文化発信のハブとしての音楽祭を目指している。気がつけば、おとまちスタッフ、実行委員会、チーム・ズンチャカ!の各メンバーがファーストネームで呼び合うほどの連帯感が育まれイベント成功の礎となった
成功ポイント2 ボランティアスタッフの育成をサポート
若者を中心に渋谷のまちづくりに携わるNPO法人と連携。有志を募って「チーム・ズンチャカ!」というボランティアチームを結成。おとまちもサポートしつつ、彼らが1年かけて企画から当日の運営までを行った。イベントはそこに至るまでのプロセスも楽しく、人とのつながりを醸成する。人づくりもおとまちの大事な仕事なのだ
成功ポイント3 地元のキーパーソンをイベントの実行組織に
関係者たちの「渋谷を盛り上げたい」という想いが企画の発端。そこで定例の実行委員会ミーティングを開催。住民への協力告知などで多大な影響力を発揮してもらえた。地域に根を張る人との連携は「おとまち」の活躍に欠かせぬファクター。イベント事業や教室運営を長く手掛けてきたヤマハの得意分野である
同じリズムを感じたら、自然と身体が揺さぶられ、同じ音を奏でれば、心と心が通いだす──。そんな音楽の求心力は、もともと人と人、人と地域を結び付けてきた。そんな、音楽の持つ高い公共性を活用したヤマハの”おとまち“はまさに、音楽に関して日本で一番のノウハウを持つ同社だからこそできる、地域活性化施策と言えるだろう。
 
 
‣次回はそんな「おとまち」の概念を紐解きながら、音楽祭とは異なった切り口の事例を紹介します。
 
ヤマハミュージックジャパン おとまち 音楽の街づくり事業
http://jp.yamaha.com/services/otomachi/