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コエドビールの物語
COEDOビールはブランドからコミュニティへ。

2019.8.8
コエドビールの物語<br>COEDOビールはブランドからコミュニティへ。

川越という土地でなければ生まれなかった「コエドビール」。これまでも地域への取り組みを大切にしてきた。そして今後もこの姿勢は変わらない。全3回の連載《クラフトビール火付け役、コエドの物語》最終回は、これからの「コエドビール」が目指す新たな取り組みに迫る。

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COEDOクラフトビール醸造所
国内の専門店やレストランでの提供に加え、アジアやアメリカ、フランス、オーストラリアなど世界各国にも輸出する日本を代表するクラフトビールブランド。2015年には、初の海外タップルームが香港に誕生。

日本全国の小さな村々で脈々と続いている、酒蔵のような存在でありたい。そんな思いをもつコエドが大切にしてきたのが、地域への取り組みだ。毎年開催している「コエドビール祭」は、酒蔵の蔵開きのようなもので、周囲への感謝を込めたイベントとしてはじまった。

コエドビール祭
限定ビールの販売をはじめ、フード出店やライブパフォーマンス、ワークショップなど盛りだくさんの内容で開催される
写真:Kaoru Yamada

2015年には、創業地・川越市の工房をリニューアルし「COEDO Craft Beer 1000 Labo」をオープン。小ロットの醸造が可能な1000ℓのタンクで、1000種類のビールを試作するユニークな試みだ。実験的に開発される多様な味わいのビールを、併設のタップルームで楽しむことができる。

また、東村山の醸造所がもともと企業の研修所だったことにちなみ、「コエドビール学校」と名付けた醸造所見学ツアーも開催。都心から車で約1時間の立地を生かし、2019年6月8日~9日には醸造所の敷地内でクラフトビールが味わえる初のキャンプイベントを開催するなど、新しい試みにも積極的だ。立派な宿泊棟も備わっていることから、今後は醸造所の見学に来てくれた人に宿泊して心ゆくまでビールを楽しんでもらう、ブルワリーホテルのような有効利用の方法も視野に入れている。

COEDO Craft Beer 1000 Labo
小ロットでコエドが試験的に醸造するビールを、社内で試飲するようにお客様にも味わってもらおうというユニークな取り組み。自由な発想で生まれる旬のビールが楽しめる

コエドがクラフトビールブランドに生まれ変わったとき、私たちに示してくれたのが、「ビールを自由に選ぶ楽しみ」という新しい文化だ。

“Beer Beautiful”。表情豊かなビールは美しく素晴らしいものであるというコンセプトのもと、いろいろな味のビールを少しずつ選んで飲む楽しさや、好みやこだわりをもって味わう探求のおもしろさを教えてくれた。

「紅赤」の原料でありコエドの原点
江戸時代から「栗よりうまい十三里」と呼ばれて人気になった川越産の良質なサツマイモ。規格外のサツマイモを有効活用しようという発想から、コエドの最初のビールが生まれた

サツマイモからつくった紅赤色のオリジナルエールから、やや高めのアルコール分の伽羅色のビールまで、コエドビールの定番6種類は色も味もまったく異なるが、軸には職人による繊細なものづくりの魂があり、6種すべてを飲むと真摯な姿勢がよくわかる。つくり手が誇りをもち、心を込めて丁寧に醸したビールは文句なく美味しい。Viva Beer! Beer is Wonderful!

コエドビール祭2019
会期|2019年9月23日(月・祝)
時間|12:00~18:00
場所|ウェスタ川越
住所|埼玉県川越市新宿町1-17-17
料金|入場無料・雨天決行
問|「コエドビール祭2019in川越」実行委員会
Tel|0570-018-777

COEDO Craft Beer 1000 Labo
住所|埼玉県川越市福田59-1
Tel|
049-228-0800
営業時間|水~金曜ランチ/11:00~15:00、ディナー17:00~21:00、土・日曜、祝日11:00~21:00
定休日|不定休

COEDOクラフトビール醸造所
住所|埼玉県東松山市大谷1352
Tel|0570-018-777
www.coedobrewery.com

文=達 弥生 写真=工藤裕之
2019年7月号 特集「うまいビールはどこにある?」


《クラフトビール火付け役、コエドの物語》
1|「ほとんどが手作業。 だから〝クラフト〟なんです」
2|地ビールからの脱却、起死回生をかけた新生「COEDO」
3|ビールはブランド、そしてコミュニティへ

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